【テニプリ】聞く耳もたらすーその4【男主】

窮鼠なれど王を噛めーその26 ページ20

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手短に済ます、と跡部様が言ったので俺達は立ったままの状態で話を聞いた。
聞き正した所、やはり天海さんがやったという事だった。これにより天海さんは合宿マネージャーを辞退するそうだ。
「ただでさえ大変なマネージャーの仕事を増やすことになるが…」と跡部様が濁したら幸村部長が

「でも、私情で仕事に手が付かないようなマネージャーにお世話されたい学校なんていないからしょうがないよね。」


と笑って言って、食堂が凍りついた。さすが神の子、我らが部長。


明日の担当などに変更が出る、などの諸連絡を伝えた跡部様は


「…俺様も頭に血が上ってその場でしっかり確かめなかった事が今回の事件に繋がったと思っている。すまなかった。」


と言って深く頭を下げた。
俺の隣で木手さんがそれを見て「いい景色ですねぇ」なんて言って鼻で笑ったが俺はかなり胸が痛かった。


「それと比嘉中、」


跡部様がこちらを向く。


「お前らには何か形にして詫びたいと思うんだが」


「ほう。王にも常識がありましたか。
さて……どうしてやりましょうかね」


そう言ってメガネをかけ直した木手さんは、今にも跪いて首を差し出せとでも言いたそうな顔をしている。

半ば冗談も含めてせめてお命だけは！と俺が突っ込もうとした時、隣で甲斐さんがはいはーい！と元気よく手を上げた。


「ネズミーランドに行きたい！！」


「お、わんも賛成！」


甲斐さんがそう言ったら平古場さんもそれに乗って手を挙げた。

え、マジで言ってんのお二人は？確かに跡部様のお家ならそんなの簡単に出来るだろうけど、木手さんの前でそんなこと言ったら殺されるのでは？

俺と同じことを思ったのであろう田仁志さんが二人の手を必死に下げさせようとしていると、


「いいですね、それ。」


「えっ、木手さん？」


「跡部君、メンバー分のディ○ニーランドのチケットで手を打ちましょう。あとガイドブックも付けてください。」


「……お前本気で言ってんのか？」


木手さんの提案にひゃっほーいと飛び上がる甲斐さん平古場さんと、目をぱちくりさせた跡部様と、木手さんもネズミー信者だったか…と顔を見合わせた俺と田仁志さん。
余りにも木手さんが平然としているので跡部様はため息をついて頷いた。


「じゃあ、チケットを四枚。これでいいのか？」


「いえ、チケットは五枚です。」


そう言うと木手さんは俺の方を向く。
え、もしかして俺の分？



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