窮鼠なれど王を噛めーその22 ページ16
ー
「拍手、ですか？」
「そうだ。」
俺の言葉に頷いた副部長は手をぱちりと合わせた。乾いた音が聞こえるが、そんなに大きい音でもない。
「は、拍手でちゅうもーくってするんですか…？」
「馬鹿を言え。これとは違う拍手の仕方をするのだ。
A、お前は耳を塞いでいろ。」
そう言われて、俺は首をかしげながら耳を塞いだ。隣の赤也先輩は何が始まるのかと副部長の手に顔を近づけた。
俺が耳を塞いだのを確認して、副部長はさっきとは手の形を少し変えて構える。
副部長が一気に手を合わせた瞬間、
ーパンッ！
空気が割れるような音がして、頬にビリっとした何かが伝わる。まつ毛に風が当たって揺れたような気さえした。
｢「っうわ！？」｣
俺はびくりと肩を震わせ、赤也先輩は副部長の手の近くから顔を離し軽く仰け反った。
「どうだ？」
「「び、びっくりした……」」
驚きで赤也先輩とめちゃくちゃ声が揃う。
「す、すげぇ！副部長どうやったんスか！？」
「まぁ待て。A、聞いた具合はどうだ？」
「具合ですか…確かにびっくりしたけど、煩くてと言うよりは……衝撃がこう、バンッ！て感じでした！！」
「まぁ表現は曖昧だが、正しいな…なら使えるだろう。おい、手を出せ。」
副部長に言われて俺と赤也先輩が手を出す。
副部長の手を形を真似て、少し手を丸める。
「ふむ、いいだろう。手を合わせる時はこう、だ。」
左手の手のひらの少し出っ張ったところへ右手を合わせるように手をつける。
なるほど、と思って軽く勢いをつけて合わせればしっかりと小さい破裂音がした。
出来るじゃないか、と副部長に頭を撫でられる。
「感覚はそうだな、手のひらに溜まった空気を押しつぶすような感覚だ。」
「えーなんでA出来んだよ！？」
赤也先輩は苦戦しているようだ。
俺はかなりその感覚を覚えたので勢いをつけてやってみたくなり、副部長の方を向く。
「これ、俺でも副部長みたいなでっかい音出せますかね！？」
「ああ、出来ると思うぞ。やってみろ。」
俺はワクワクとしながら、手の形を作る。
そのまま勢いを付けて、俺は手を合わせてーー
窮鼠なれど王を噛めーその23→←窮鼠なれど王を噛めーその21
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 204人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
木こりのコロポ(プロフ) - 日吉和菓子2円さん» コメントありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2018年4月30日 0時) (
レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
日吉和菓子2円 - ルドルフ組が可愛かったです！ (2018年4月29日 22時) (レス) id: 9521c565b3 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 第一部隊さん» コメントありがとうございます！ルドルフの中だと淳が好きなので、かなり淳との会話が多くなってしまったかなと思います…！お気に召して貰えたならなによりです！ (2018年4月29日 19時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - ルドルフかわいかったです！家族設定面白い！ありがとうございました！ (2018年4月29日 18時) (レス) id: 91bd124fa4 (このIDを非表示/違反報告)
木こりのコロポ(プロフ) - 暁月さん» ご指摘ありがとうございます！訂正しました！ (2018年4月29日 13時) (レス) id: 43368e3037 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：木こりのコロポ | 作成日時：2018年4月14日 8時
