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「実は・・」
チャンミンが振り向いた。
「レコーディング、うまくいかないところがあって・・」
「そう・・なんだ」
そんな時に風邪ひくなんて・・
ちゃんとヌナとして応援してあげたいのに。
こんなんじゃ・・
「でも、頑張れそうです」
「え？」
「誰かに届く、そんな歌が歌えそうです」
「・・それはよかった」
一連のことを思い出して恥ずかしくなる。
「だから、早く治してください」
「はい」
「あと、あまり無理はしないでください」
「うー・・ん」
「無理をさせるために歌ってるわけじゃありません」
「すいません」
「栄養剤」
「はい？」
「冷蔵庫に入れてあります。そしてDVDにも入ってます」
「DVD・・？」
あぁ、そっか・・
「栄養とって無理しない程度に、頑張ります」
「タカシも心配してたから後で連絡して。熱下がらなかったら明日ミアちゃんに来てもらって」
靴を履きながら言うチャンミンはとってもよくできた偽彼氏だった。
錯覚を起こしそうだ・・。
「“一応”・・俺も心配だったからきてるんです」
「へ？」
「またしばらくは韓国だから、次はライブの時に来ます」
「そっか・・・」
しばらくまた会えないんだ。
「チャンミン・・」
「ん？」
「ありがとう」
ドアノブにかかった手を一瞬外してこっちを見るチャンミン。
「実は、かなり辛かったから、“一応”心配して来てくれて嬉しかった」
体が調子悪いと心も弱くなる気がする。
寂しいの変わりに素直に感謝を伝えてみた。
これが、私の精いっぱいだ。
「次会う時は、元気でいてくださいね」
「はい」
「ちゃんとあったかくして、ご飯もちゃんと食べてください」
「うん」
「それから、テレビつけっぱなしで寝ない事」
「・・・」
「いいですね！！」
「はい」
「もう、心配かけさせないでください！いいですね！」
「え、あ、は、、はい！」
戸締りはちゃんとしてください！と
お母さんは・・いや、チャンミンは帰って行った。
耳を真っ赤にして・・。
何か飲もうと冷蔵庫をのぞいたら・・栄養剤がビッシリ入ってて一応の心配ににやけながら眠った。
“一応”の心配ににやけながら眠った。
ステージにいるチャンミンに説教をされるという悪夢と共に起きたら、熱はほとんどなくなっていた。
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作者名：Lip | 作成日時：2018年2月15日 0時
