名前のない関係─CM (ページ31)

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「やっぱり2人は理想です」

「へ？」「は？」

「言いたい事言って、それでもすごく幸せそうで・・」

「いやいや、別にね、普通だから・・」

そもそも付き合ってもいないし・・
そう思ってまた罪悪感がチクンと痛む。

「それが普通だっていうのがすごいんですよ」

ミアちゃんはそれでも絶賛をやめない。
そういうんじゃない、そういうんじゃないんだ・・。

「俺が甘えてますからね」

「え？」

「Aはそれを受け止めてくれます。俺だけじゃないけど・・
　そういう人ですから」

チャンミンが言う言葉が落ちてこない。
甘えてる？
お互い線引きをしてるくせに・・そんなこと言われてもそうは思えないけど・・

「タカシくんが心を許してる女性に嫉妬してたんです。
　でも・・嫉妬じゃなくて今は憧れになりました」

そう言って笑顔を向けるミアちゃんが嬉しくて、嬉しくて・・「俺さ・・こういう誕生日なかったから」

すっげー嬉しい、と笑顔で言うタカシ。

「仲間内とかまぁ、いろいろ祝ってもらったのはあったけど・・
　本当にあったかくてさ、ねぇとチャンミンと・・それにミアちゃんがいて・・
　家族・・みたいだなって。親戚とか集まったらこんなんなのかなって」

ミアちゃんがタカシの彼女で本当によかったと思う。
じゃなかったらきっと2人きりで祝いたいと思うのが当然だから。

「ありがとう」

「ミアちゃんのおかげだね」

私がそう言うとタカシは愛おしそうにミアちゃんを見つめた。

空いてるお皿をそっと立ち上がって下げる。
そろそろかな・・？

チャンミンを見るとチャンミンも立ち上がる。

「あ、すみません、私が！」

手伝おうとするミアちゃんを制止する。

「いいのいいの、お邪魔させてもらったんだからこれくらいさせて」

「そうですよ、僕もタカシの誕生日をお祝い出来て嬉しかったです」

お皿を洗う私たちにタカシが近づいてきた。

「今日はありがとう」

「こちらこそ」

そういうチャンミンにタカシは頭をかいた。

「俺のさ、生い立ち・・責任取れとは言わないから、ねぇに聞いといて」

男同士では恥ずかしいのかもしれない。
きっとそれをチャンミンもわかってるから、“ん”という短い返事で終わった。