�� ページ28
「自分の運命、それはもう、受け入れた」
「どうにもならへんねん」
「染まりたくなくても、染まる」
「大抵のものが手に入るようになって、それこそ、このオカンと住んだアパートも、小遣いで借りてるし」
「大して頭がよくなくったってええ学校入れるし、どんな見かけやって文句言うやつおらへんし、」
「足りてるって、十分、何もかも」
「そう思ってた、いや思おうと、しててん」
菅田が、わたしを見る。
深呼吸をして、
「お前に会って、ちょっとぶれてもーてる」
眉を下げて、情けない顔で笑う。髪をくしゃくしゃ、と乱した。
「菅田」
「んー？」
「好きだけど、手ぇ出せないって、言ったよね？」
「ああ、.......うん」
「倫也先輩がいるから、じゃない、でしょう？」
「はは。さすが。勘がええな？」
伸びてきた指先、私の顔に触れる。
「まゆ、」「め、」「はな、」「ほほ、」「くちびる、」「あご、」
言いながらゆっくり、撫でてく。
「見せたいもの、あるねん」
押入れを開けて、何かを探し当てた菅田は、私の元へ戻ってきて、一枚の写真を渡した。
見て、言われそれを見る。
「.....菅田と、」
「ん。オカン。可愛いやろ」
息が止まりそうだった。
幸せそうに菅田を抱き抱えた、まだ幼さの残る若いその女性は、あまりにも私に似ている。自分でもわかるくらいに。
「それが、理由」
写真に目線を落として溢した。
「俺はお前に恋してんのか、愛情をもらいたいのか、欲 情してんのか、可愛がりたいのか、憧れてんのか、わからへんねん。その全部なんかもしれんし、そうじゃないのかも」
「最初は軽い気持ちやってんけどな」
「知れば知るほど、わからへんくなって」
「写真、見返したら。驚くほど、」
似てるし、と、私の顔をまじまじと見て目を伏せた。
「お母さんのこと、好きだったんだね」
「....好きなわけない。うらんでる、なんで死んでんって。俺を残して。しかも、あんな男の子供妊娠して、一人で産んで、俺ひとぼっちにして、産まん方が良かったんちゃうんかとか、俺の生きる意味、とか、」
堪えられなくなった涙が、決壊したかのように菅田の形の良い瞳からぼろぼろと零れ落ちた。
思わず、両腕で引き寄せて、頭ごとかかえるように抱き締める。
私の鼻先をくすぐる柔らかい金色の髪の毛からは、潮の香り。
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ヨーコ(プロフ) - ドキドキ止まりません！最高です！更新楽しみにしています♪ (2020年4月4日 20時) (
レス) id: b9e84898e5 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます〜！楽しみにしていただけて嬉しいです。そろそろ終わりに向けて、と思ってますが、もう少しお付き合いくださいませ♪( ´▽｀) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ショウさん» いつもありがとうございます〜！寒いの苦手なのは倫也さんのリアルを意識してみました( ´ ▽ ` )もうしばらくお付き合いくださいませ！ (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新とても嬉しいです！題名が２匹と書かれていたのでドキドキしながら読みました！そのさんの作品を見るのが今の私の楽しみです！少女漫画のようにきゅんきゅん毎回させてもらえて幸せな気持ちになります！これからも応援しています！ (2020年2月6日 15時) (レス) id: 57aaad4ad9 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 感想遅くなりましたが、らいおんの告白とても胸に響きましたっ！2匹のやり取りの続きもとても楽しみに待ってます、おおかみが寒がりなところ保温ポット愛用されてるのでピッタリですね 笑 (2020年2月5日 15時) (レス) id: bd7e526c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：その | 作成日時：2019年12月10日 12時
