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そこは小さな木造の二階建てのアパートで、カンカン、と音を立て階段をのぼり、一番奥の部屋まで菅田の背中を追って進んだ。
ポケットから出した鍵の束の中から一つを選んで、鍵穴に鍵を差し込んで、回す。
かちゃり、と鍵の開く音。たくさん鍵があるね？聞くと、いくつか家あるからな、って、当たり前のように言う。
「で。なんでついてきてんねん」
なんつって。
と、ここへきて菅田は悪態をついた。連れて来たのは菅田だ。私は何故か、ここへこないといけないと思っている。だから、ついてきたの。
扉をあけて、玄関と呼べるほどの広さもない場所でサンダルを脱いで、菅田が振り返る。まだ表に立つ私を、ただ、見つめた。
入れとも言わず、入るなとも言わない。
でもやっぱり、その表情はいつもと違ってどこか切ない。
「入っても、いいの？」
「いいけど、何されても文句言えへんで？」
「ふふ。キスもできないのに、ボン」
「お前のそーゆう、変に度胸あるとこ、」
ほんま好きやねん、て、呆れながら笑った。入りや、とくるっと背中を向けてちょいちょいと、指で手招きをして。
靴を脱いで中に入ると、左手に申し訳程度にある古めかしいキッチンと、その先に四畳半の畳の部屋が。家具もなにも置かれてない部屋には生活感はなかったけれど、どこか懐かしい香りがする。
菅田はカーテンとベランダの窓を慣れた手つきで開けて、あっちー、と小さく呟いた。
「まあ、座って」
「言うても、ソファも座布団も椅子も、ないねんけど」
「すまん」
「シャワーも風呂もないし、」
「しかもクーラーないし」
ぽりぽりと頭を掻いて、あ、そー言えばと押し入れを開けた。あったあったと、レトロな扇風機を出して、コードを差し込みスイッチを押した。羽根が回り出して、風がおきる。
部屋の壁に背を預けてあぐらをかいて座った菅田が、隣をポンポンと、叩いた。
ひと一人分ほど空けて三角座りで座ると、扇風機を私の方に向けてくれる。
「ありがとう」
「んや、こっちこそ。ここに人連れてくんの、初めてや」
感慨深そうに、菅田は言う。
真っ直ぐ前を見つめて、何かに想いを馳せるみたいに。
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ヨーコ(プロフ) - ドキドキ止まりません！最高です！更新楽しみにしています♪ (2020年4月4日 20時) (
レス) id: b9e84898e5 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます〜！楽しみにしていただけて嬉しいです。そろそろ終わりに向けて、と思ってますが、もう少しお付き合いくださいませ♪( ´▽｀) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ショウさん» いつもありがとうございます〜！寒いの苦手なのは倫也さんのリアルを意識してみました( ´ ▽ ` )もうしばらくお付き合いくださいませ！ (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新とても嬉しいです！題名が２匹と書かれていたのでドキドキしながら読みました！そのさんの作品を見るのが今の私の楽しみです！少女漫画のようにきゅんきゅん毎回させてもらえて幸せな気持ちになります！これからも応援しています！ (2020年2月6日 15時) (レス) id: 57aaad4ad9 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 感想遅くなりましたが、らいおんの告白とても胸に響きましたっ！2匹のやり取りの続きもとても楽しみに待ってます、おおかみが寒がりなところ保温ポット愛用されてるのでピッタリですね 笑 (2020年2月5日 15時) (レス) id: bd7e526c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：その | 作成日時：2019年12月10日 12時
