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「.........っ、はあ....」
「ごめん、」
「いえ....」
「やだった？」
首を横に振って、否定する。
でも気恥ずかしくて、彼の目を見れず俯いた。
「なんか止めらんなくなった、」倫也先輩の声はいつもより低い。
「来週のさ、日曜空いてる？」
「えと、たぶん、大丈夫です」
「この前の土曜は、結局だめんなったし」
「です、ね、」
人差し指で頬を撫でて、私の視線をあげさせる。心臓の音がとくとくと、まだ早いまま、彼を見た。垂れた目は少し申し訳なさそうに、でも優しく笑んでいる。あんなキスするような人に見えなくて、なんだか変な気持ち。
「じゃあさ、午前中映画行って、で、午後、」
俺んちおいで。
少し緊張しているのが伝わる声音で、私を誘った。はい、と。答える私の声も少し震える。
身も心も、そう願っている。
らいおんの姿がちらつくなんてことは決して、ない。
「本、借りて帰ろ」
さっき私が落とした本を拾って、倫也先輩が私の手を取る。
「俺、ちょっと焦ってるよな」
「え？」
手を引かれながら、背中を向けたまま喋る。
「いや、かっこわりぃなって思って」
焦るのはどうしてだろう。
ライオンのせいですか？とは聞けない。
カウンターで本を借り、図書室を出る。
いま、どんな顔をしているんだろう。
「倫也先輩は、かっこいいです、いつも」
背中越しにそう小さく言葉を溢すと、立ち止まる。驚いた顔をして振り向いて、照れているのか丸めた指で鼻先を擦った。その仕草は、かわいい。
そう、倫也先輩はかっこよくて、かわいくて。私の大好きな恋人。
「Aってさ、急にぶっ込んでくるよね」
「そう、ですか？」
「初めて喋った時も、そうだった」
「どんなだった、かな」
「俺の前髪についたもみじ、とるなって腕掴んできて」
「ああ、あれは思わず...」
「この子と付き合うって、決めたの。あの瞬間」
だから、俺絶対、Aのことあげない。
再び握られた手、ぎゅうと力を込めて。真剣な眼差しに、私は瞬きで答える。
焦っています、先輩。私も。
早くあなたのものとならなければ。
そう、あるべきだから。
この夏、わたしたちの健全なおつきあいは、
終わるんだろう。
おわり
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ヨーコ(プロフ) - ドキドキ止まりません！最高です！更新楽しみにしています♪ (2020年4月4日 20時) (
レス) id: b9e84898e5 (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ゆんさん» ありがとうございます〜！楽しみにしていただけて嬉しいです。そろそろ終わりに向けて、と思ってますが、もう少しお付き合いくださいませ♪( ´▽｀) (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
その(プロフ) - ショウさん» いつもありがとうございます〜！寒いの苦手なのは倫也さんのリアルを意識してみました( ´ ▽ ` )もうしばらくお付き合いくださいませ！ (2020年2月6日 21時) (レス) id: 55b0c33bda (このIDを非表示/違反報告)
ゆん - 更新とても嬉しいです！題名が２匹と書かれていたのでドキドキしながら読みました！そのさんの作品を見るのが今の私の楽しみです！少女漫画のようにきゅんきゅん毎回させてもらえて幸せな気持ちになります！これからも応援しています！ (2020年2月6日 15時) (レス) id: 57aaad4ad9 (このIDを非表示/違反報告)
ショウ(プロフ) - 感想遅くなりましたが、らいおんの告白とても胸に響きましたっ！2匹のやり取りの続きもとても楽しみに待ってます、おおかみが寒がりなところ保温ポット愛用されてるのでピッタリですね 笑 (2020年2月5日 15時) (レス) id: bd7e526c97 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：その | 作成日時：2019年12月10日 12時
