◇53話 決勝トーナメント ページ5
今思えばあの時話したことが最大の元凶だったのかもしれない。
＿＿＿＿＿
結論から言うと、一花谷は地区予選、県予選、地方ブロック予選を勝ち抜いた。よって、めでたく兵庫で行われる全日本中学校選手権大会の東海代表の女子3校に選ばれたのである。
「良かったね、姉ちゃん！」
「うん！！倫くんも応援ありがとね〜、コートまでおっきい声届いてたよ！」
うわ、まじかよ、確かにいつもより張り切って応援してた気がする。特に地方ブロック予選の決勝の最終セットは観客席の手すりから身を乗り出して声を張り上げてた気がする。
「……なんか、それ今になって恥ずかしくなるからちょっと封印して」
「えー、やだよ、いつも大人しい倫があんなに頑張ってくれてたんだしー私にとっちゃ永久保存だね！」
こういう時、姉ちゃんは結構イイ性格をしているなって思う。
「姉ちゃんの意地悪……」
「いやいやっ、私の弟はめっちゃ可愛くて好きだなーって思っただけなんだけどな〜？」
……あー敵わないな
「やっぱ好き……」
「ふふっ、私もだーいすきっ！！」
＿＿＿＿＿
そしてそして決戦の4日間が今始まる。この大会で姉ちゃんは引退だから中学校でのバレーはこれで最後となる。
来年俺達角名家は母さんと父さんの出張で2つに分かれる事になっていてこれは決定事項だ。決して離婚とかではない。姉ちゃんは母さんと、俺は父さんについて行くことになっている。
俺としては、姉ちゃんが離れる事が辛くて辛くて堪らない。
俺の周りの奴らは俺の表情が乏しいとかなんだとか言うけど、こう見えて姉ちゃんのことが大好きなのである。恋愛とかじゃないけどとにかく一緒にいたいって思う程には好きだと思っている。
だから姉ちゃんが高校でバレーしてるのをいつも見れる訳では無いんだと分かっているからこそ、今日の試合を目に焼き付けたいと思っている。
姉ちゃんはセッターでは俺はミドルブロッカーだけど姉ちゃんは俺にとって最高の選手だと思っている。誰がなんと言おうとこれは譲れない。
さぁ、今試合が始まる、頑張れA姉ちゃん！！
＿＿＿＿＿
試合は順調に進み、ほぼほぼストレート勝ちで決勝トーナメント準決勝まで上り詰めた。
「Aっ！」
「はーい！っと」
ドンッとボールが体育館の床に叩きつけられる。
うわっ、すっげー。相手の強いスパイクでレシーブが乱れてしまったリベロのカバーに入った姉ちゃんがアタックラインちょい後ろのとこからライトのスパイカーに速いトスを完璧にあげた。
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霰霰 - この作品にどハマりしました!!!更新が楽しみです😆✨ (2021年12月31日 1時) (
レス) @page10 id: c1e168e932 (このIDを非表示/違反報告)
ニコラスケイジ - この作品めっちゃ好きです！更新楽しみにしてます❤ (2021年9月29日 16時) (レス) @page5 id: 02838600ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：水色のエコバッグ | 作成日時：2021年9月21日 12時
