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第陸話 痛さと熱さ ページ8

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むせ返るような、血の匂いだった。



なんでこんなことになったんだっけ。



みんなまだ寝ていて、俺はみんなを起こさないように、朝ご飯の準備をしていて…


それから、何があったっけ。





激しい痛みと、経験したことのない熱さで意識が戻ってきた。



熱い。


痛い。


熱い。


考えれば考えるほど、痛みも熱さも増す。



息が出来ないくらい。もう死んでしまいそうなくらい。



『は、…か、さん…みん…な…』



自分でも驚くほどの枯れた声だった。

これじゃみんなに届かない。


もっと、もっと大声を出さないと…



『ぅ、ぅううぅ……』



倒れている身体を起こそうとするけれど、力が入らない。動いたら痛いし熱い。

ちら、と足の方を見ると、ひどい火傷をしていた。足の横には、味噌汁を作るために沸かしていた湯が入っていた鍋が転がっている。



『(火傷の痛さと熱さって……こんなに強いものだっけ…)』



火傷くらいしたことはある。

でも、こんなに痛くなかった。熱くなかった。


身体の"中"が、熱いのだ。



『…た、じろ…』



呂律が回らない。
愛する弟の名前が、普通に呼べない。

それが何故か、俺はとっても悲しくて。

ぼろぼろと涙がこぼれた。





.






痛さと熱さが少し引いてきたので、ゆっくりと身体を起こす。

無性に何か飲みたかった。

喉が渇いて、どうしようもないくらい腹が減っている。


朝ご飯の時間が、遅いから?

いや、こんなに減ることは今までなかったはずだ。


それに、変な感じがする。

まな板の上に転がった野菜を見ても、食べたいなんて思わない。


じいっと見つめても食欲が湧かなかったので、台所からゆっくり移動する。

この移動も、早くすることができない。

家族のことが、炭治郎のことが気になって仕方ないのに。

早く、会いたいのに。

どうしても動かない。



『(…どうしちゃったんだろう、俺…)』




******

ウオオオオオ1日でこんなにたくさんの方がお気に入りと評価を…………総合2位!?にっ、2位!?なんだこれ!ありがとうございます!なんかすみません!ありがとうございます!!

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しろりん(プロフ) - 鬼滅の刃の原作沿いの中で一番この作品がお気に入りです...。兄主さん...素敵なお兄さんですね...。更新頑張ってくださいね!...早く善逸や伊之助にも会ってほしいな...。 (2022年5月7日 10時) (レス) id: 5f15beaff6 (このIDを非表示/違反報告)
猫を愛している者 - 続きは書かないんですか? (2020年8月15日 22時) (レス) id: f0ad13efd7 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - そうだったんですね!良かったです…!! (2020年2月22日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ヤトさん» ありがとうございます!返信遅れてしまって申し訳ありません… (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 南無南無さん» 終わってないんです!すみません!!漫画が手元に無いとお話が書けなくて、なかなか更新出来ずにいます…本当に申し訳ないです…更新お待ち下さい!! (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月16日 14時

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