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第弐拾捌話 覚悟 ページ30

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近くにいたはずの二人はいなかった。

最悪の事態が頭をよぎる。



「(まさか…あの鬼みたいに…!?)」



いや、もしそうだったら、兄ちゃんが何かしら喋ったはずだ!


二人は生きていると信じて、お堂へ走る。
ちゃんとした日陰になりそうな場所は、ここしかない。


二人がいますように、と祈る気持ちで、吹き飛ばされて片方しかない障子をくぐる。


するとそこには、籠に入って風呂敷で頭を隠す禰豆子と、
その頭を撫でる兄ちゃんの姿があった。



「…禰豆子…兄ちゃん…」


なんともなさそうな(禰豆子は顔をしかめているけれど)二人を見て、心底安心した。

力が抜けそうになった膝を叩く。こんなところで座り込んでたらだめだろう。



さっきのあの人は、と思い、お堂から出てみると、土に向かって手を合わせていた。
殺されていた人たちを埋葬してくれている。



「あの…」

「儂は鱗滝左近次だ。義勇の紹介はお前で間違いないな?」


立ち上がったところで話しかける。
この人が、鱗滝さん…
そしてやっぱり、あの男の人は冨岡義勇さんだったんだ。



「は、はい。竈門炭治郎といいます。
兄は優之心で、妹は禰豆子…」

「炭治郎」


自己紹介をされたのでこちらも返すと、遮られるように名前を呼ばれた。












「妹と兄が人を喰った時、お前はどうする」












え、と思ったときには、バシッと頰を叩かれていた。

突然のことに固まる。



「判断が遅い!

お前はとにかく判断が遅い。朝になるまで鬼に止めを刺せなかった。今の質問に間髪入れず答えられなかったのは何故か?お前の覚悟が甘いからだ。


妹と兄が人を喰った時やることは二つ。




妹と兄を殺す お前は腹を切って死ぬ




鬼になった兄妹を連れて行くというのはそういうことだ」


ひりひり痛む頬を手で押さえ、言われた内容を必死に理解する。


禰豆子と兄ちゃんが人を喰ったら。
二人を殺して、俺も死ぬ。


心臓がどきどきした。そんなこと、考えてもいなかった。


「しかしこれは絶対にあってはならないと肝に銘じておけ。罪なき人の命をお前の兄妹が奪う、それだけは絶対にあってはならない。

儂の言っていることがわかるか」


「……はい!!」


無機質な天狗の顔を見ながら、気づけばそう返事をしていた。



*******
鬼を喰ったら→人 に直しました
教えて下さり有難うございます!

第弐拾玖話 辛抱→←第弐拾漆話 鴉の手紙



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しろりん(プロフ) - 鬼滅の刃の原作沿いの中で一番この作品がお気に入りです...。兄主さん...素敵なお兄さんですね...。更新頑張ってくださいね!...早く善逸や伊之助にも会ってほしいな...。 (2022年5月7日 10時) (レス) id: 5f15beaff6 (このIDを非表示/違反報告)
猫を愛している者 - 続きは書かないんですか? (2020年8月15日 22時) (レス) id: f0ad13efd7 (このIDを非表示/違反報告)
南無南無(プロフ) - そうだったんですね!良かったです…!! (2020年2月22日 22時) (レス) id: e2dd911ff4 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - ヤトさん» ありがとうございます!返信遅れてしまって申し訳ありません… (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 南無南無さん» 終わってないんです!すみません!!漫画が手元に無いとお話が書けなくて、なかなか更新出来ずにいます…本当に申し訳ないです…更新お待ち下さい!! (2020年2月16日 14時) (レス) id: dec789af05 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年9月16日 14時

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