第9話 ページ9
そうだった……。
ここはもう私の場所。
いつ別れが来るかは分からないけれど。
生きているうちはみんなと楽しまなければ
勿体ないじゃないか。
人はいずれ死ぬ。モンスターもいずれ死ぬ。
生きる年数が違うことぐらい当たり前だ。
それでも一緒に過ごせる時間は
過ごした時間は何を犠牲にしても
もう手に入ることはないのだ。
だからこそ、痛々しく美しいのだろう。
*
メタトンが記者から取材を受けていた。
近くにはアルフィーもいる。
おそらく作った本人だから呼ばれたのだろう。
特にこれといって問題はなさそうだ。
人間にとっても彼らのパフォーマンスは
目に止まるところがあるのだろう。
テレビに出る人達は
何よりも楽しませることがモットーだ。
勿論自分が人気になりたいのもそうだろうけど。
「あ!ダーリン!!来てたんだね!」
取材が終わったのか、勢いよく飛びつくメタトン。
メタルボディがなかなかに痛い。
「メタトン!ダメよ、Aに抱きついちゃ!」
「そうだよ、芸人としての自覚を持って。」
「えー?持ってるよー、ちゃんと。」
「なら離れて。」
つれないなー、と肩をあげる。
彼とのスキャンダルなど御免だ。
嫌いとかではなく、単に目立つのが嫌なだけ。
「これといって変わったところはない?」
「大丈夫だよ。Aたちのおかげで
みんな楽しそうだ!」
「私もメタトンと一緒よ。」
アンダインといい、アルフィーたちといい
改めてお礼を言わないと気が済まないのか?
そもそもあれは私たちが勝手にしたことだ。
「A、また眉間にシワが寄ってるわよ。」
「褒めてるんだから、素直に受け取りなよ?」
「うん、ごめん。」
相変わらず人の好意がどちらなのかわからずにいる。
アルフィーたちもアンダインも
本気で感謝を伝えてる。わかってはいるんだ。
ただ上手く言葉を返せないだけで。
「そうだ。このチケットあげるよ。
フリスクとキャラ、アズリエルとAの分。」
どうやらメタトンのライブみたいだ。
キャラ辺りは嫌そうな顔を浮かべそうだが
みんなで行くとなれば行くよね?
「ありがとう。この日は開けておくよ。」
「それがいいと思うよ。地上に出てから
働きっぱなしなんでしょ?少しは休んでね!」
アルフィーとメタトンと別れ
外に出るとパピルスがいた。
どうやら彼も仕事帰りらしい。
「おお!A!久しぶりだな!」
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作者名:あゆさ | 作成日時:2020年12月2日 20時