第7話 ページ7
「はぁ……。」
「サンズ、元気だして。
キャラのA察知能力は凄まじいから。」
「……それもあるが、アイツが鈍感すぎるのも
考えものじゃないか？」
「サンズのアピールが遠回しなのも
いけないと思うけど。」
フリスクとサンズがなにやら話してる。
小声で聞こえずらい。
フリスクがサンズに何か相談してるのだろうか？
なら、無闇に聞くもんじゃないな。
子供の悩みはデリカシーそのものだし
相談できる相手が、いるだけいいものだ。
…………私にはそんな人いなかった。
あーまた暗くなっちゃった。今はいいじゃないか。
沢山の友達がいるんだから。
うんうん、と一人で頷く。
「そろそろ帰ろう？A。
ママもパパも心配するよ。」
「そうだね。帰ろうか。サンズ、今日はありがとね！
これ、大切にするから。」
手を振ってグリルビーにもご馳走様と告げた。
二人は手を振って見送ってくれた。
「それにしてもサンズは意気地無しだよな。」
「ね、せっかく色々悩んで買ってたのに。」
「まあ！私には都合がいいけどな！」
「ん？何の話？」
「Aは気にしなくていいよ。」
グリルビーがオイラにケチャップをおまけする。
どうやらこいつにもバレちまったらしい。
「……次は渡せるといいな。」
「渡せるかよ。いきなり婚約指輪は
流石に引かれるよな。」
本来渡すはずだった小さな箱。
勇気が出なくて使っていなかったスカーフを
彼女の手首に巻き付け、プレゼントした。
けれど、オイラの色みたいだと
言ってくれたことがすごく嬉しくて。
オイラのことを少しは意識してくれてるって
わかった勢いで告白しようとした。
キャラに邪魔された訳だが。
「種族が違うことを気にしてるのか？」
「それもあるが、あいつはオイラを
好きになったとしても絶対に言わないだろうな。」
まだ罪の意識が拭えていない。
オイラたちへの申し訳ない気持ち。
あいつはオイラたちの中にいるように見せて
今でも第三者の視線でいるんだ。
前よりかはマシになったがな。
「……いつか奪われるぞ、他の奴に。」
「それが彼女の幸せなら何も言わないさ。
今はあのスカーフが婚約代わりみたいだと
思えば……。」
「重いな。」
「言うと思ったぜ。ま、お守り代わりってのも
嘘じゃない。アイツはここに居ていいんだ。
ここはもうAの居場所だ。」
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作者名：あゆさ | 作成日時：2020年12月2日 20時
