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第27話 ページ28

……沈黙が痛い。


あまり仲が良くないと


自分から話しかけるのも勇気がいるし


下手な話題を振ってがっかりされるのも癪に障る。


リアルでのコミュ障と、人間不信が発動か。


人間不信というかこの場合なんて言うんだ?


スケルトン不信?いや、モンスター不信?


「ところで、インク。お前、本当に何しに来たんだ?
お絵描きする為じゃねぇだろ?」


エラーは単純にこの空気に飽きただけと見た。


まあ、二人が話すなら、気まずくならなくて済む。


「んー……多分ね、Aに会いに来たんだよ。」


描いていた線が思いっきりブレた。


動揺したせいだろう。


そこまで酷くは無いが、いや状況は酷いんだけどね。


インクが私の存在を知っていて


私に会いに来たっていうのが問題。


「…………お前。」


「同じ第三者だからね。いや、それよりもずっと上の
存在、この世界の創造者がいる世界なんでしょ?」


ゾクリと背筋が凍り、冷や汗が額から流れ落ちる。


スケッチブックに目を落として、


決してインクと視線を合わせない。


その瞬間、私はきっと本当に


動けなくなってしまうだろうから。


「そんな大層なやつなら死んでねぇだろうが。」


「あ、そう、それだ。確かにあの世界は少し
揺らいでたけど、元に戻りつつあった。
エラー、君が行くまではね。」


____……え?


私は思わず目を見開いてエラーの方を見た。


彼も少し驚いた顔をしている。


どうやら意図的ではないようだが。


「貴方の、せいなの?」


責めたい気持ちが押し寄せる。


彼が私の世界でイタズラなことをしなければ


私はバグと判断されずに居られたし


きっと彼らのそばにいることが出来た。


ーーーそんなのって、ないよ。


「お、おい……。」


「ごめん、一人にさせて。インクもごめん。」


泣き顔なんて見せたくなかった。


悔しいと思ってる自分なんて見せたくなかった。


けれど、彼らから離れて何処へ行けばいいんだろう。


まだここに来て日が浅い。


誰もいない場所に行きたい。誰にも会いたくない。


誰かに会ってしまったら


八つ当たりしてしまいそうだ。


イレギュラーで消されるなら仕方ないって思ってた。


けど、あの世界は時空の歪みが安定しつつあった。


私も受け入れられるところだったんだ。


なら、ずっと、ずっと彼らの傍に居たかった。

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作者名:あゆさ | 作成日時:2020年12月2日 20時

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