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第19話 ページ19

プツリと突如、声は消えた。


何も無かったかのように。


声が消えたのと同時にAの体も消え始めた。


「なんでなかったことにするの!?
Aはここで生きてたのに!!」


この世界はAの存在を許さない。


死んだ瞬間、バグとして消すなんて。


何も残してくれないの?ここにいた証ですら。


体は消えてしまった。塵一つ残さずに。


「フリスク、お願い。【RESET】して。
A姉さんを、助けてよ……。」


僕だってそうしたい。けど、二人と約束したんだ。


最悪な時以外【RESET】しないって。


Aの身に何が起きても【RESET】しないって。


「なんだよ、それ……ふざけるなよ!!!」


「だって!だって……【RESET】したら
Aはいないんだ!キャラも、
アズリエルもいないんだよ。」


それは彼女の望んだ世界じゃない。彼女は言ってた。


皆が笑って暮らせる世界で


誰一人欠けないで欲しいって。


「そんなの、そんなの紛い物じゃないか!
だって、A姉さんはもういない!
こんなの、可笑しいだろっ!」


涙が溢れる。僕とキャラの涙がただ静かに


金色の花に落ちていくだけだった。





あと少しだった。サンズがAを殺し、


私が彼女のソウルを取り込んだサンズごと


殺すつもりだった。


身をていした犠牲に反吐が出る。


思わず取り乱してしまった。


インクの邪魔さえなければ


目的は果たされるはずだった。


いや、何もやることは変わらない。


とにかく今はインクから逃げる。


Aと彼が近くにいる、手を出すのは危険だ。


インクも目を光らせてるみたいだし。


「身を隠さないとね。インクってば
あんなに殺気立って。」


少しは隠せばいいのに。


無理か、特殊なインクを摂取してる彼に


感情で嘘がつけるとは思えない。


ソウルレスだったらあるかも。また、始まるのか。


あいつが約束を守ってれば、


こんな事にはならなかったのに。





*四度目の世界が始まる。


*彼女は殺されてしまうはずだった。


*この世から全て消え去るはずだった。


*四度目なんて来ないはずだった。


*胸が苦しい、痛い、辛い。


*けれど、見ているわけにはいかない。


*起きてしまったものは仕方ない。


*なら、変えるしかない。


*もう二度とあんな思いをしたくないから。


*僕が守る、彼女は僕が守る。


*彼の好きにはさせない。次こそ、僕を選んで……。


*こんな結末を繰り返さない為に。

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作者名:あゆさ | 作成日時:2020年12月2日 20時

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