第19話 ページ19
プツリと突如、声は消えた。
何も無かったかのように。
声が消えたのと同時にAの体も消え始めた。
「なんでなかったことにするの!?
Aはここで生きてたのに!!」
この世界はAの存在を許さない。
死んだ瞬間、バグとして消すなんて。
何も残してくれないの?ここにいた証ですら。
体は消えてしまった。塵一つ残さずに。
「フリスク、お願い。【RESET】して。
A姉さんを、助けてよ……。」
僕だってそうしたい。けど、二人と約束したんだ。
最悪な時以外【RESET】しないって。
Aの身に何が起きても【RESET】しないって。
「なんだよ、それ……ふざけるなよ!!!」
「だって!だって……【RESET】したら
Aはいないんだ!キャラも、
アズリエルもいないんだよ。」
それは彼女の望んだ世界じゃない。彼女は言ってた。
皆が笑って暮らせる世界で
誰一人欠けないで欲しいって。
「そんなの、そんなの紛い物じゃないか!
だって、A姉さんはもういない!
こんなの、可笑しいだろっ!」
涙が溢れる。僕とキャラの涙がただ静かに
金色の花に落ちていくだけだった。
*
あと少しだった。サンズがAを殺し、
私が彼女のソウルを取り込んだサンズごと
殺すつもりだった。
身をていした犠牲に反吐が出る。
思わず取り乱してしまった。
インクの邪魔さえなければ
目的は果たされるはずだった。
いや、何もやることは変わらない。
とにかく今はインクから逃げる。
Aと彼が近くにいる、手を出すのは危険だ。
インクも目を光らせてるみたいだし。
「身を隠さないとね。インクってば
あんなに殺気立って。」
少しは隠せばいいのに。
無理か、特殊なインクを摂取してる彼に
感情で嘘がつけるとは思えない。
ソウルレスだったらあるかも。また、始まるのか。
あいつが約束を守ってれば、
こんな事にはならなかったのに。
*
*四度目の世界が始まる。
*彼女は殺されてしまうはずだった。
*この世から全て消え去るはずだった。
*四度目なんて来ないはずだった。
*胸が苦しい、痛い、辛い。
*けれど、見ているわけにはいかない。
*起きてしまったものは仕方ない。
*なら、変えるしかない。
*もう二度とあんな思いをしたくないから。
*僕が守る、彼女は僕が守る。
*彼の好きにはさせない。次こそ、僕を選んで……。
*こんな結末を繰り返さない為に。
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作者名:あゆさ | 作成日時:2020年12月2日 20時