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第12話 ページ12

わかってる。


まだ心の準備が出来てないだけだ。


*嘘はいい。約束守ってよ。
君が私にした罪を償うチャンスは
ここしかないんだから。


久しぶりに目覚めて疲れたのか


声の主は寝てしまった。きっともうバレてる。


俺が何をしようとしているのか。けど絶対諦めない。


あいつの意志なんて関係ない。


俺がそうしたいからするんだ。


憎まれようが構わない。


俺は、俺の【意志】を貫き通す。





目を開けるとサンズ達の家にいた。


「助けてくれてありがとう。
そろそろ降ろしてくれる?」


彼は返事もせず、私を抱き寄せる。


「サンズ?」


「一歩遅かったら死んでたんだぞ。
なんでそんなに冷静なんだ。」


いつになく不安げな表情を見せる。


その顔はやめてほしい。


「泣かないで。お願い、その顔は苦手だよ。」


どうしたらいいかわからなくなる。


そっとサンズを抱き寄せた。


「大丈夫だよ。サンズのおかげで
私、生きてるんだから。」


「そういう問題じゃないが……不思議だな。
アンタの言うことも一理あると思っちまう。」


彼はそういうと私を降ろしてくれた。


床を踏む感触で本当に無事なんだと改めて安堵した。


「さっきのは知り合いか?」


「ううん。でも、声は聞いたことがある気がする。
私が思い出せないだけで何処かで会ったことが
あるのかも。」


「喧嘩でもふっかけたか?」


まさか!と目を見開く。それは有り得ない。


知らない間に傷つけてしまったなら


その考えは有り得るが。


「とにかくこの事はみんなに話す。
しばらくAの周りは
ロイヤルガードだらけになるな。」


「えっ。」


「自分が死ぬところだったのに
傷つけるのを止めらっただろう。」


確かに死ぬところだった。


けど、彼を傷つける方が嫌だった。


自分でも理解できない気持ちに、胸がざわつく。


「とりあえず話はしておくからな。
これからまた仕事か?」


「うん。と言っても学校へ行くんだけどね。
帰りはトリエルたちと一緒だよ。」


「なら、学校まで送る。」


こうなってしまった以上


サンズは私の意見を聞かないだろう。


彼なりに心配してくれているのだ。


その好意を無駄にするのは申し訳なかった。


「(危なかった。)」


ヒヤッとした。恐ろしかった。


あと一歩遅かったらと思うと。


いや、いや、考えるのはやめよう。


あいつは今無事なんだ。今はそれでいいじゃないか。


また狙われるなら皆で守ればいい。

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作者名:あゆさ | 作成日時:2020年12月2日 20時

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