第六十話 ページ10
『貴方の言ってることは
全て紛い物です！
私にはちゃんと記憶があります！』
知ってる、どうやって両親が死んだのか
曖昧だなんて嘘だ
私ははっきりと覚えてる
ただ……実感がなかったから
悲しいとか、寂しいとか
思えなかっただけだ
「……君、本当に往生際が悪いね」
少々イラついている様子だが
"まあいいや"と切り替えてこちらに迫ってくる
「A……俺は幼い頃から君を見てた
君だけを愛してる……俺だけのもの
誰にも触れさせない、誰にも見させない
紫崎にも、絶対にやらない」
私の名前を何度も呼びながら
足、膝、手首、首に
キスをしたり舐めたり
まるで愛犬を愛でるかのように
まるで溶けたアイスを舐めるかのように
ーーー彼は狂っている
私たちは昔なじみでも
幼馴染みですらない
恋人ですらないのに！
思わず目を背いた
いやだ……嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ！！！
『私は！あの人以外のものにはならない！』
そう言った瞬間
彼は私の名前を呼ぶのをやめた
気になって彼の方を向く
目を見開いて、嫉妬に狂ったように私に迫ってくる
「"あの人"？ねえ？誰のこと？
誰の事言ってるの？ねえ、ねえ
ねえねえねえーー！」
ーーーお願い、誰か
あの人じゃなくてもいいから
私を助けて……
あの人に会う前に××されたくない！
殺されたくない！汚い私を見せたくない！
目を瞑って私は叫んだ
『だれ、か……誰か！助けて！！』
そう言った瞬間、嫌な音が聞こえた
よく知っている音
そして私の体は温かいものに包まれた
ピシャリと水みたいにかかる
「は……っ？なんだ、よ……これ……」
彼のお腹から溢れ出す大量の血
この量では助かるなど無理だろう
赤く塗れた手をこちらに伸ばす
「……A……っ……」
だが、それは私に触れる前に
彼を刺した人物が切り落とした
その瞬間、高橋翔は動かなくなってしまった
「人様のマスターちゃんを
勝手に触んじゃねぇよ、変態野郎」
そういって彼はニヤリと笑った
私はただ呆気に取られてしまった
どうして彼が……ハイドがここに？
彼はナイフで私の手足を
縛っていたロープを切った
助けて、くれた？
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まな★★(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます！そのように思って頂けて嬉しいです！ (2019年4月4日 12時) (
レス) id: 5821fa07da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 橋さんの心の在り方に感動しました。私もこのように在りたいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まな★★ | 作成日時：2019年2月21日 10時
