第五十七話 ページ7
すると、男性の声が響いた
俯かせていた顔を上げると
そこには紫崎くんが私を庇うかのように
目の前に立っていたのだ
「し、紫崎くん……」
「彼女には何の非もない
大勢で追い詰めるのは良くないことですよ」
彼女たちはざわつき始めた
"ど、どうする？" "まさか本人が来るなんて"
さすがにこの状況は
予測できていなかったらしい
私もその一人なのだが
「私は優しい女性が好きですよ」
ニコッと爽やかに笑う彼に
彼女たちの目がハートになったような
「お、おほほほっ……橘さん
誤解してしまってごめんなさいね」
不気味な程にニマニマしながら
彼女たちは去っていった
ーーーーイケメンに弱いな
そういう私もちょっとだけ照れくさい
何がって、また彼に助けられたことだ
『……ありがとう』
「いえ。いやーでもよかった
貴方の姿が見えないので
もうとっくに帰ったのかと」
ーーーー？
彼の言葉に疑問を感じる
私が先に帰ったとしても
何も問題ないと思うのだが
「今日は雪が降りそうだな、途中まで送る」
……不思議に思いながら
私は彼に"うん"と返事を返した
＊
帰り道
今にも雪が降りそうなほど周りの気温が低い
早く家に帰って暖まりたい
「……ここは星空がとても綺麗だ」
え？と思って思わず空を見る
雲が多い中、その隙間からは
小さいながらもキラキラと
輝いている星があった
『……綺麗』
そう口にしていた
だって本当に綺麗だったから
目の前のことばかり気にし過ぎていて
空をゆっくりと眺める時間なんてなかった
「…………」
隣を歩いていた紫崎くんの様子が
少しだけ変わった
雰囲気がピリッとしているような
『どうしたの？』
「……誰かが後ろから跡をつけている」
……え？
紫崎くんに"立ち止まらず歩き続けて"と
言われたのでそうすることにした
何となく気になって耳をすませる
なんとなくだが私たちの足音に加えて
後ろから一人分の足音が聞こえた気がした
『まだ、ついてきてる？』
小さな声で質問すると彼は小さく頷いた
ーーー嫌だ、怖い……
「近道を行こう。速足で行けば
人がいるはずだ」
彼は森の方に入るように私に促した
どうすればいいかわからなかった私は
彼に従うことにした
ちょっとした山道のようになっていたので
草や枝が道に転がっている
後ろから枝を踏む音が聞こえた
まだついてきてるの……
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まな★★(プロフ) - ゆきさん» コメントありがとうございます！そのように思って頂けて嬉しいです！ (2019年4月4日 12時) (
レス) id: 5821fa07da (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - 橋さんの心の在り方に感動しました。私もこのように在りたいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: cbcf733df5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まな★★ | 作成日時：2019年2月21日 10時
