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「ちょっと、ネクタイ曲がってるよ」
彼は"あっほんとだ"と驚く
どうせふりなんだろうけど
手先が器用なくせに
私に毎回やらせるとか何様だ
「もう、しっかりしてよ」
この小言も何度目だろうか?
彼は嬉しそうにニマニマと笑う
ニヤニヤよりマシだけど
恥ずかしくなるのはこっちなのでやめてください
ネクタイを直すと、"ありがとう"と言った
感謝の気持ちを述べられるのは嬉しいが
いい加減自分でーーーー
その瞬間、額にキスをされる
「な、朝から何してんの!?」
今度は子供のように無邪気に笑う
"それじゃあ、行ってきます"
私の話も聞かずにそのまま行ってしまった
ーーーーくそっ、あいつめ……
っと、いけない……私も約束があるんだった
*
茅「A!会いたかったよぉ!!」
有名人が大声で人の名前を呼ばないで欲しい
一応、変装はしてるものの
バレバレなのではないだろうか?
モブ「あの子、誰かに似てね?」
モブ2「え?そうか?気のせいじゃないか?」
ーーーーーすごいな、バレないのか
カエデに連れられて喫茶店に入る
久しぶりに休暇を取れたらしく
こうやって会う約束をした
私なんかより渚と会えばいいのに
私自身は気付かなかったが
周りのみんなはカエデの恋に気付いていたようだ
なぜ、私に言ってくれなかったのか
理由は簡単だ、恋愛に鈍感だから
否定したいが、事実なので出来ない
茅「で、新婚生活はどうですか?」
ニヤニヤと笑いながら話しかける
私よりも彼女の方が幸せそうに見えるのは
どうしてだろうか?
「どうって……いつも通りだよ」
"えー"と駄々っ子のように頬を膨らませる
そんなに聞きたいのか
茅「だってだって!カルマくんの
恋が叶ったんだよ?そりゃ、気になるよ〜」
ーーーーそう、結局、高校生活の二年間
私は彼の事を好きになってしまった
いや、別に後悔なんてないけど
私ってこんなにチョロかったのかと思うと
茅「チョロい?そんなことないと思うけど?
中学の時は本当に興味なさげだったしね」
"みんな《難関の壁》って呼んでたし"
なにそれ、初耳!!
今更とやかく言うつもりは無いが
そんなあだ名つけないで欲しかった
茅「実際のところどうなの?」
ーーーーー答えなければいけないのか、それは
カエデはこちらを凝視している
まるで逃がさないとでも言うように
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作者名:まなさん★★ | 作成日時:2018年12月30日 20時