寛三郎さん ページ9
うこぎは優しい主人に付けただろうか。
今日は朝からから引っ切り無しに村の上空を烏が行ったり来たりしていたが、日も暮れ始めるとその数もだんだんと減り、今は閑かなものである。何故そんなに往来が激しいのかと言えば、定期検診に烏が帰省してきているのだ。鎹烏の任務は楽ではないし、危険もある。鬼狩り様も烏の事を熟知している方はなかなかいらっしゃらないだろう。それに烏は黒いから、怪我も見落としがちになる。そういった理由から、定期的に専門の医者が診る必要があるのだ。
この村には烏専門の医者がいる。胡蝶様の蝶屋敷が鬼狩り様の療養所であるように、烏にも烏の療養所があるのである。私の母も忙しい時には手伝いに行っているが、今がその忙しい時で、烏医者の家は天手古舞といった風だ。いっそ不憫なくらいである。
他の月の検診は、対象を分散させているので、そこまで忙しくもないようだけれど、この九月初めの定期検診は対象が先日入隊した烏以外の凡てとなっている。それは刀鍛冶の里付の烏も、産屋敷様付の烏も、元隊士様付の烏も、本当に凡てである。
九月初めというのは、先の戦争で徴兵を始めるまでは世間に於いても学校の始まる時期であったらしいが、鬼殺隊に於いても入隊の大事な時期なのである。しかし当然ながら鬼はそんな事を忖度してくれない。主人の危機に役に立てるよう、鎹烏の身体が悪いというのもあってはならない事なのだ。
「今晩は！A姉ちゃんいるかい？」
戸口から元気の良い少年の声が聞こえ、向かってみると、案の定そこにいたのは烏医者の家の少年、
「はいはい、どうしたの烏旭。」
「姉ちゃんとこの烏がな、藤の薬が薄くなってるから、暫くうちで預からないといけないんだ。だから、主人の隊士様にお伝えして欲しい！それから、代わりの烏を遣らなきゃいけないけど、出せる子はいるかい？」
とても元気良く答えてくれた。私もまだ十九だけれど、この若さは目映いばかりである。
藤の薬とは鬼狩り様付の鎹烏が服用している薬だ。一度服用すればそれなりに保つが、定着にも暫く掛かるのだ。
裡から放烏した中の誰だろうか。
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あさ(プロフ) - 光華さん» コメント自体は本当に有り難く嬉しいので、どうかお気を悪くされない事を祈ります。再度、コメントありがとうございます (2020年8月7日 7時) (
レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - 光華さん» 頻繁に改行をするものではなく、この書き方は私のポリシーとして出戻る前から確立されています。幼い頃から沢山の本を読み漁って確立された価値観ですので、申し訳ありませんが変える事は出来ません。占ツクでは万人受けしない事は承知の上ですが、ご理解お願いします。 (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。有り難い御意見ではあるのですが、途中で書きました通り指数が毎話ギリギリになってしまっていて、改行分の字数すら惜しいくらいになっています。それから、私の中での文章や小説というものは、(例によって字数が足りませんので続きます) (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 行間をもう少し空けたらどうでしょうか (2020年8月7日 6時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます！とても励みになります。割とこだわっている部分なので、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますのでお付き合いお願いします。 (2020年7月15日 0時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あさ x他1人 | 作成日時：2020年5月28日 1時
