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「先程我妻様の雀の治療は終わりました。悪い菌なんかも入っていないようでしたし、怪我もそう長引きはしないでしょう。」
水を得た魚の様に元気に求婚を続ける善逸をしのぶが止めて数分後、Aは何事も無かったかの様に説明を始めていた。本当は、割と何でも真に受けてしまう性格故に、運命だの結婚だの言われ、大いに動揺していたのだけれど、それが顔に出るわけではなかった。表情の変化に乏しいのだ。
「それはそうと、我妻様、雀の事で何か不自由されてはいませんか?出来る限りお助け致しますから、もしあればどうぞおっしゃってください。」
「そんなまさか!とっても優秀ですよ〜。何にも困ってなんかおりません!」
「そうですか。それは重畳です。
…では、私はそろそろお暇致しましょうか…。」
椅子から腰を浮かすAに、善逸は焦った。えっ、もう?早くない?俺まだ名前しか聞いてないんだけど!せめて歳だけでも!あわよくば番地など!!
「あのっ、…烏匠って、女の子なのに、すごいですね。」
目の前の女性が女の子という歳かどうか定かではなかった。しかし数多の女性に袖にされ続けた善逸である。女性には比較的詳しかった。Aからは若い女性の音がした。
「そうですね…女性はあまりしないようですけれど、私がしなければ、来年ご入隊の隊士様は鎹烏が無くってお困りになりますから。」
善逸はそれを聞いて、男達の中で奮闘する健気で意志の強い女性という印象を勝手に作り上げた。なんて可憐なんだ、やはり今すぐにでも娶らなければなんて思った。それは全くの間違いではないが、しかし全くの間違いと言っても間違いでないくらいには間違った認識だった。
鎹烏の村は、鬼殺隊の一部とは思えないほど穏やかな場所である。刀鍛冶の里などを想像してもらうと解りやすいが、鬼殺隊は裏方の中ですら、主張が激しく常識の通じない者がいる。そこを行くと、まるで奇跡のような村だった。小父さん達とも小母さん達とも、烏匠の跡継ぎの若い息子達とも、Aは大変優しい、めるへんちっくな関係を築いているのである。こんな若い娘が母親と二人だけで住んでいようと、何の間違いも起こりそうにない。
「やり甲斐もありますからね、好きでやっているんです。」
「なるほど、因みにご結婚などは?」
「はい?ええ、まあ、行く行くは。」
という事はまだというわけだ!これはいける!俺はやる!などと善逸は相好をぼろぼろに崩す。Aはまるでわけが解らなかった。
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あさ(プロフ) - 光華さん» コメント自体は本当に有り難く嬉しいので、どうかお気を悪くされない事を祈ります。再度、コメントありがとうございます (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - 光華さん» 頻繁に改行をするものではなく、この書き方は私のポリシーとして出戻る前から確立されています。幼い頃から沢山の本を読み漁って確立された価値観ですので、申し訳ありませんが変える事は出来ません。占ツクでは万人受けしない事は承知の上ですが、ご理解お願いします。 (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - 光華さん» コメントありがとうございます。有り難い御意見ではあるのですが、途中で書きました通り指数が毎話ギリギリになってしまっていて、改行分の字数すら惜しいくらいになっています。それから、私の中での文章や小説というものは、(例によって字数が足りませんので続きます) (2020年8月7日 7時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
光華(プロフ) - 行間をもう少し空けたらどうでしょうか (2020年8月7日 6時) (レス) id: e4678e2dff (このIDを非表示/違反報告)
あさ(プロフ) - stereogirlさん» コメントありがとうございます!とても励みになります。割とこだわっている部分なので、そう言っていただけて嬉しいです。これからも頑張りますのでお付き合いお願いします。 (2020年7月15日 0時) (レス) id: 280f636c3f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あさ x他1人 | 作成日時:2020年5月28日 1時