NAGOYA-Day2 ページ42
【side: JH】
スマホが目覚ましのアラームで震えた。
きっちり閉めたカーテンの隙間から入ってくるのは真新しい朝の光で、眩しさに目を細めながら通話ボタンを押す。
JH「……おはよ、起きた?」
少しだけ眠たげで、普段よりふわふわした声が返ってくる。
『おはようございます。ちょうど今起きました』
その声を聞いた瞬間、胸の奥が緩んだ。
普段は起きるのがしんどい朝も、今日はすっきり起きられた。普段より随分ゆっくり喋る声にまた話しかける。
JH「じゃあ、準備できたら連絡して。朝ごはん、昨日言ってたとこ行こ」
自分でも驚くほどスラスラと自然に言葉が出た。
日本に来てからというもの、どこか心の底が軽い気がする。
その理由を深く考えたくはなかった。
数分後、連絡をもらって来た彼女の部屋の前。
チャイムを押す直前、なぜか息をひとつ飲んだ。
扉が開いて、彼女の顔がのぞいた瞬間ーーその理由に気づく。
(……ああ。日本に来ると、本当に顔が柔らかくなるんだな)
まだほんの少しだけ眠たげな目、首筋に落ちた髪。
海外では滅多に見せなかった“隙間”があった。
JH「行こ?」
そう言うとはるなは頷き、マフラーを整えた。
並んで歩きながら、静かなホテルの廊下を進む。
エレベーターに乗り込む直前彼女が小さく息を吐く。
「日本語だけで生きられるの、久しぶりです」
JH「ふふ。いいじゃん。今日は甘やかされなよ、母国語に」
はるなが笑う。その気の抜けた様子が、どうにも胸に刺さった。
⸻
向かったのはホテルから少し離れた、知る人ぞ知る和食処。
個室に通され、座敷の扉が閉まると、外の気配がすっと遮断された。
畳の匂いと、出汁の香り。
湯気が静かに立ち上る急須。
小さな音で流れる和風なBGM。
JH(……こういう朝は、久しぶりだな)
鰹節削り器の音が、コトコトと奥で響く。
店主が丁寧に運んできた卵と白米、それから湯気をまとった味噌汁。
JH「これ、“削りたての鰹節”なんだって。卵かけご飯にかけると、世界が変わるらしいよ」
そうホームページに書いてあった。
「世界が変わる……?」
JH「店主が言ってたんだよ。楽しみだね」
はるなが笑っている。
その笑顔が柔らかすぎて、うっかり表情を作るのを忘れてしまいそうだと思った。
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Linaria(プロフ) - milkvetch179さん» きゃーー嬉しいですありがとうございます😍これからも楽しんでいただけるように頑張ります🎶 (11月15日 0時) (
レス) id: 5491e187e2 (このIDを非表示/違反報告)
milkvetch179(プロフ) - 待っていました!!!嬉しいです🥺💕 (11月13日 15時) (
レス) @page3 id: 50cdaa3150 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴち | 作成日時:2025年11月11日 20時


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