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碧空溶溶として月華静かなり1 ページ18

[side:はるな]

オフの日。
人混みを避けて閑静な住宅街にひっそり佇む小さなギャラリーに訪れた。
古い建物を改装した白壁の空間に、現代美術の作品が間を広くとって並べられている。
冬の日差しが差し込む窓際に立ち、抽象画の淡いブルーを眺めていると——

「……はるな?」

背後から声がした。振り向けば、黒のキャップを目深にかぶった長身の男性が立っていた。
一瞬だけ目を見開いて、すぐにふっと笑みを浮かべる。

MH「本当に、偶然」

「……ミンハオさん?」

まさかプライベートで会うとは思っていなくて、思わず驚きが声に滲んだ。
彼は肩をすくめ、まるで何でもないことのように隣に並んだ。

MH「僕、こういう展示を一人で見に来ること多いんだ。
……でも、ここではるなに会うのは想像してなかった」

笑う声が柔らかい。

MH「よくこういうのに来るの?招待制でしょ、これ」

「はい、職種的にお誘いいただくことが多くて。役得です」

作品に溶け込むような気配は、舞台上の彼とはまるで違う。



その後は自然と二人で歩きながら展示を回った。
ひとつひとつの作品に立ち止まって、感じたことをぽつりぽつりと交わす。

MH「この絵、色は少ないのに余白が強い。
なんか…はるなのデザインに少し似てるね」

「似てますか? 私はもう少し構造的に考えてしまうから」

MH「でも計算された静けさには近いと思う。
作品には作った人の呼吸が必ず入るから」

その言葉に、胸の奥が少しだけ温かくなった。
彼の観察眼に、自分の中の大切な部分をそっと触れられたような気がして。



展示を見終えると、冬の夕暮れが街を覆い始めていた。
もう少し話したいな、と自然に思った。
けれど、静かな場所でなければすぐに人目を集めてしまう。
大人気アイドルが同年代の女とプライベートで一緒にいるところなんて撮られでもしたら大惨事だ。

「……知り合いに教えてもらった会員制のカフェバーがあるんです。
展示を見たあとに作品を頭を整理するのにちょうどよくて。良かったら一緒に行きませんか?」
と誘うように言うと、ミンハオは一瞬驚いた顔をして、すぐに目を細めた。

MH「はるなが案内してくれるなら、行ってみたい」

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Linaria(プロフ) - てちさん» ご指摘ありがとうございます🙇🏻‍♀️🙇🏻‍♀️初書きなものでなんの知識もなく、、危うく消されるところでした💧ありがとうございます😭🫶🏻 (10月9日 23時) (レス) id: 69dc979765 (このIDを非表示/違反報告)
Linaria(プロフ) - 赤福さん» 嬉しすぎます…!!😭ありがとうございます🎶 (10月9日 23時) (レス) id: 69dc979765 (このIDを非表示/違反報告)
てち(プロフ) - オリフラがたったままになっています(T_T)大好きな作品なので、削除されてしまったら悲しいです…お気づきになった際にご対応をお願いします。 (10月9日 23時) (レス) id: 787950b0c2 (このIDを非表示/違反報告)
赤福(プロフ) - 大好きなお話です!!やばい。。 (10月9日 21時) (レス) @page42 id: a06298082d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぴち | 作成日時:2025年9月29日 14時

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