lilac (ページ6)

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背が伸びた。少しだけ顔付きが大人になった。でも、それでも、まだ子供だ。例え少し休んでいたとして、またこの子に何を背負わせるんだろう。小さく欠伸をして、Aがこっちを向く。

「デビューしたいんです」

『…うん』

「先生も期待してくださってるから、頑張らないと」

「すごいな、俺たちのAは」

「オッパたちももうすぐデビューでしょう？わたし見てたから」

「本当？連絡してくれたら良かったのに」

携帯が鳴る。ドンヒョクからだった。ヒョンどこにいるんですか？と声が聞こえて、Aが顔を上げる。秘密にしてと口が動いて、そろそろ戻るねとだけ言えば電話が切れた。ジャニはこれからご飯を食べるらしくて、ユタを引っ張ってドアが閉まる。エレベーターに乗って、2人で小さく息を吐いた。

「どう思う？」

『多分、Aなんだと思う』

「Aに会った瞬間、昨日テヨンイが言ってたのが急に冗談じゃないって思ったわ」

『むしろ今まで冗談だと思ってたの？』

「いきなり女の子が入るかもって言われて素直に信じるやついる？」

『それは、そうだけど』

「でもAなんだとしたら納得できるし、Aじゃなかったら誰なんだろうとは、思う」

自分たちの宿舎に帰ればマークがエントランスにいて、向かいから歩いてくる俺たちを見て首を傾げていた。口を開く前にユタが肩を組んで、俺の背中を摩る。何から伝えればいいのか分からなくなる。

「ヒョンたち、どこに行ってたの」

「うん？ちょっと散歩」

「誰と会ったの？」

「誰にも会ってないよ」

「本当に？」

「どうした？何かあった？」

「最近、Aの名前を聞いたから」

部屋の鍵を開けようとして、手を伸ばしたまま動きが止まる。これじゃきっとバレバレじゃないか。ユタが代わりに鍵を開けて、俺の手を引っ張って歩いて行く。何も言えないまま時間が過ぎて、明後日俺たちはまた集まるようにと言われて、ジャニを見れば小さく頷いていた。

「Aは1日早く呼ばれてるって」

『そ、っか』

「嫌だ？」

『そんなことないよ、むしろ嬉しい』

「そっか、良かった」

嬉しい、それは本当だ。それでも1年前、俺たちの前で泣いた姿を知っている。この話を聞いて、Aはどんな顔をするんだろう。どんなことを考えるんだろう。夕日が落ちて、オレンジと薄暗い青が混ざっていく。