永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ44)

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あ「あちゃー…ダメだこれりゃ」

郁「はーちゃんどうだった？」

あ「このままだと補習になるかも…」

文化祭が終わって余韻に浸かる暇なく

冬休み前にある定期考査がやってきた。

郁「私も危ういかもしれない～…。

ギリギリまでもう勉強するしかないね。」

テスト本番前に試される小テストはボロボロ。

元々勉強は得意な方じゃないし、

前回の定期考査も赤点ギリギリで危うかったけど、

改めて振り返ると高校入学出来たことが奇跡のよう。

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放課後、早速テスト本番に向けて図書室へ行き、

教科書とノートを開いて勉強に取り掛かる。

まずは苦手な数学から…っと。

テストで出そうな範囲は

元々先生に教えてもらってるから

赤線で引いた計算式を復習することにした。

「…めん…俺は…－…」

「な…で？…－その子…－」

私以外の生徒はいないはずの図書室。

微かに人の話し声が聴こえてきて。

勉強していた手が止まる。

時々聴こえるその話し声は、

特有な訛りと関西弁ですぐに誰なのか分かった。

忍び足で声がするとこまで行き、

本人達に気付かれないよう本棚の角から

恐る恐る顔を覗かせた。

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