永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ43)

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…仕方ない。

そろそろ行ってあげるか。

あ「永瀬くん、お待たせ。」

彼女らしい台詞を口にして、人だかりの前に立つ。

すると、永瀬くん含め周りにいた女子の視線が

一気に私へ集まった。

"彼女"が来たと分かれば

自然と永瀬くんから散らばる女子の人だかり。

あ「はい。タピオカ。」

廉「遅いんやけど」

あ「仕方ないでしょ。並んでたんだもん」

廉「うそつけ。離れて見てたやろ。」

おっと。バレてたらしい。

それにしても優しい表情と

小声での発言が全然噛み合ってない。

廉「アイコンタクトしとんのにお前シカトやし」

あ「え？そうなの？」

この後、

「なんのための彼女のフリやねん」と怒られたのは

言うまでもない。

まぁそこは気付けなかった私も悪いけど。

さっきまでの優しさは一体どこへやら。

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お互い肩を並べ、タピオカ片手に、

最後中庭を歩いていると

「廉！たこ焼き買ってけよ！」

廉「さっきめっちゃ食ったから腹いっぱいやねんけど」

「チョコバナナ食べるかー？」

廉「俺甘いの苦手やし」

「カキ氷食ってけよ！」

廉「頭キーンなるから遠慮しとくわ」

四方八方から引き止められ、

その都度立ち止まっては少し立ち話をしていて。

本当人気者なんだなぁ。

と、改めて彼の人気を実感した。

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