永瀬くんは、ニセのプリンス様【1】 (ページ20)

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廉「お前さっきのなんなん？」

あ「さっきのって何よ」

校門出て、同じ制服の生徒達が見えなくなった途端、

眉間に皺寄せて不機嫌さを露にする極悪人。

廉「わっかりやすい愛想笑い、

話振っても二文字三文字の返事だけ。

まじでなんなん？演技下手か？下手なんか？」

はぁー、文句が多い事。

なんて面倒くさい男なんでしょう。

あ「素人なんだから下手に決まってるじゃない」

口先を尖らし、少し不貞腐れた態度で

小声で独り言話してたつもりなのに

廉「なんやて？」

彼は地獄耳らしい。

あ「次からもっと上手くやりますぅー

すみませんでしたー」

廉「あ？なんやねん。その態度。

バラすぞごら。」

彼の眉間の皺に更に深みがかかるけど、

あ「あぁっ！！またそうやって脅すの！？

ほんとサイテー！」

今回は私だって引く気なんかない。

なんでもかんでもエラソーに。

ほんっとムカつくっ！

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あ「私だってあんたの本性バラそうと思えば

いつでもバラせるんだからね！？」

廉「ふぅん…言うてくれるやん」

あ「みんなに見せる姿はぜーんぶ偽物で、

本当は性格極悪だし態度はデカいし、

すぐ人を見下すー…「ええ加減にせんと

その口ほんまに縫うぞ」

言い出したら止まらなくなっちゃってて、

気付いたら冷めた目で人を見下ろす極悪人。

その鋭い目付きに少し怯みそうになるけど、

ここで怯んだら思うツボだ。

あ「ぬっ、縫えるもんなら縫ってみればっ？」

こちらも強気な態度で出てやる。

あ「なっなによ」

何も言わず無言で私を見つめる極悪人。

あ「無言の圧だけはひゃー…！」

人が喋ってる途中で、

いきなり片方の手で両頬をむにゅっと挟まれた。

あ「いひゃい」

廉「ほんま猿みたいにうるさい女やな。

顔はマンボウのくせに。」

は…？マンボウ…？

廉「俺こっちやから。じゃーな。」

パッと頬から手が離れ、

駅の改札方面へ向かって行く永瀬くんの背中を

呆然と見つめる。

ねぇ、マンボウみたいな顔ってなんなの…？

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