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名前をもらい幸せな気分で生まれて初めての1日を過ごしたAは、風呂で部屋を開けている宿主の帰りを待ちながら今日のことを振り返っていた。
服がない彼女に八百万が個性を使って作ってくれたこと、あれだけAに気圧されていた麗日が少しずつ歩み寄ってくれたこと、そして能動的なクラスの皆だからとても打ち解けられたこと。
誰もいない部屋で一人笑みを溢すAは子供のようなあどけなさがあった。
造形にそぐわない彼女の精神的年齢は時にクラスメイトの頭を悩ませたが、本人には自覚など欠片ほどもなかった。
爆豪も彼女を個性としては見ていないようで、一人の人間としてAを叱ったり、褒めたりはしないが接していた。
何だか不思議だね、と呟いたAの真意を彼は別の解釈を当てがったようだった。
彼女はいつでもニコニコとしていた。
程なくすると時間はもうすぐ爆豪が風呂から帰って来る頃だった。ドアが2回ノックされ、その向こうからはくぐもった麗日の声が伝わる。
すぐに口角をあげたAは返事をしてドアを開けた。
「こんばんはAちゃん、お風呂入らん?」
「お風呂?」
手に寝間着とタオルを抱えた麗日が顔を出してそう言った。
そういえば自分は人間の姿をしているのだから入った方がいいのか?と自問したAは人間としての常識はもちろん欠如している。
「うん。Aちゃん実態あるんやし、入った方がいいよ。初めてでしょ?教えてあげる!」
「……何着ればいいの?」
「え?あ、パジャマなら八百万さん作ってくれたでしょ、それ着なよ」
「あのフリフリのやつー?」
そう、八百万は生粋のお嬢様である。
彼女がそういった趣味の持ち主であれば必然的に創造されるものもその趣味に倣われる。
「私に似合うかなー?」
「大丈夫だよ、Aちゃん可愛いし!爆豪くんもメロメロになっちゃうんじゃないかな」
「わあ!!私って罪な女!」
ちなみにこれは素だ。
確かに顔立ちやスタイルは申し分ないがひらきなおりすぎではないか。
しかし可愛いからクラスの皆には許された。
たったそれだけの理由で。
「でも、お茶子も可愛いよ!私とは違う可愛さがあるのね、そんなお茶子も好き!」
違った。
やはり彼女の純真さには誰もが惹かれるのだ。
裏表がない素直で聡明なところは現代を生きる女子たちにとって砂漠に存在するオアシスのようなものなのだろうか。
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りと(プロフ) - KoKoRuさん» そうなんです、爆破だからもっと爆発的なイメージを持たれてしまうかな、と思って描かせていただきました。参考になったならとても嬉しいです!(´˘`*) (2018年1月22日 19時) (レス) id: 2e41884d99 (このIDを非表示/違反報告)
KoKoRu(プロフ) - なんかイメージよりフワフワした感じだけど、こっちの方が可愛いと思うので参考にさせていただきます! (2018年1月21日 22時) (レス) id: 43321ef465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2017年12月24日 21時