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轟と共に補習が行われる会場に着いた爆豪は、自身の中にAがいる感覚というものをあまり掴めないままでいた。
溶け込むように爆豪の中に消えた彼女はその間寝ているのかただだんまりをしているのか知らないが、声が聞こえたりすることはなかった。
一度確認のため先程呼びかけてみたが、一切反応はなかった。
期待をしていたというわけではないが、何だか白けた。
「爆豪。そういえばアイツは連れてこなくてよかったのか?A、だったか」
更衣室でコスチュームに着替えていると、轟がさほど気にしていない様子で爆豪に話しかけた。
「半分野郎」や「舐めプ」など、あだ名から考えても爆豪の轟に対する態度は読めるのだが、そもそもそんなことにすら轟は興味がないのである。
すなわち話しかけられたことによって爆豪が怒っていようとどうってことなかった。
「うっせぇ!!話しかけんなクソ舐めプが!!」
「悪ぃ。でもアイツがいないと個性使えないんだろ?」
「俺ん中にいるに決まってんだろ!そんなヘマするかよ」
そうか、とあっさり身を引いた轟はやはりさほど興味はなかったのだ。
それよりも悪い意味で彼の気を引き、とてつもない存在感を放つものが隣にいるからだろう。
「彼女!?彼女さんっすか!?」
「…うるせぇ」
「うっせぇハゲ」
「ハゲ!!」
士傑高校の夜嵐イナサ。
雄英と同じく一年生で仮免の試験に挑んだ者だ。
「つーか他言すんなっつったよな」
「お、悪い」
「思ってねぇだろ!!」
爆豪も最早轟のペースに飲まれている。
二人のやりとりを楽しそうに眺めていた夜嵐は「これが友情!!」と抑えきれなくなった興奮を叫んだ。
「うるせぇ」
「うっせぇんだよハゲ!!」
「やっぱ二人仲いいっすよね!!」
そうしている間にも時間は過ぎ、他の補習メンバーより遅れて集合した三人は補習監督であるギャングオルカに怒声や罵声を浴びさられる羽目になった。
しかもAはその光景を黙って見ていたらしかったのだから、彼女もそれなりに人間味を帯びてきている。
爆豪の個性に自我が芽生えてから、個性の調子は一段とよくなった。
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りと(プロフ) - KoKoRuさん» そうなんです、爆破だからもっと爆発的なイメージを持たれてしまうかな、と思って描かせていただきました。参考になったならとても嬉しいです!(´˘`*) (2018年1月22日 19時) (レス) id: 2e41884d99 (このIDを非表示/違反報告)
KoKoRu(プロフ) - なんかイメージよりフワフワした感じだけど、こっちの方が可愛いと思うので参考にさせていただきます! (2018年1月21日 22時) (レス) id: 43321ef465 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りと | 作成日時:2017年12月24日 21時