ずっと想ってる。 (ページ27)

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男子には3cmでも大切。ページ27

「じゃあね！ばいばい。」
「あぁ。また明日。」
「バイバイ！桜花ちゃん。」

桜花ちゃんと別れていつも通り
2人で帰る帰り道。

いつもと同じ帰り道なのに、
今日は違って見えた。

『俺が告白したら、お前も木戸さんに告白する。』

何回も何回も頭の中を巡る言葉。
もしかしたら、もうこんな風にしゃべれなくなるかもしれない。

そんなことを考えると怖くなる。

「カノ・・・？」
「え？」

いつの間にか足を止めていたようで、
少し前にいるキドが心配そうに僕を
振り返った。

「あぁ。ごめん。考え事してた。」
「そうか。何、考えてたんだ？」
「ん？恋って難しいなぁ・・・って。」

すると、キドはふっと微笑む。

「ずいぶんと可愛いこと言うんだな。」
「だって本当のことだもん。」

バカにされたような感じがして、
少しすねながらもまたキドと歩き始める。

「バカにするとすぐすねるの、変わってないな。相変わらず。」
「すねてないもん。」
「絶対すねてるだろ。」
「・・・すねてない。」

正直に言えばすねている。
が、負けるのは悔しいので意地を張ると
キドはすぐにそのことを見抜いたようで「はぁ。」とため息をついた。

「相変わらず成長してないな。」
「性格はね、性格は！身長は伸びてるもん。」
「いや、関係無いだろ。それ。」

そんな、漫才のようなやりとりを繰り返す。
僕らにとっては日常茶飯事だ。

「でも、まぁ・・・確かに。中学生のときは俺よりもチビだったもんな。」
「それ言わないで。地味に傷つく。」

チビってキドは言うけど差はせいぜい
3cmくらいだったはず。

でも、男子には『3cm』だって
重大な差なわけで。

そのときはすごい焦ってたんだよなぁ。

だけど中学3年のときに一気に伸びた。
僕がキドよりも5cmだけだけど。
高くなった。

・・・なぜか、
キドはそのとき悔しそうにしてたけど。

「なぁ、カノ。」
「なぁに？」
「久しぶりにしゃべんないか？今日の夜。また・・・ベランダで。」

僕とキドの家のベランダは隣あっていて、
会話ができる。

「ふふっ。いいね、そうしよっか。」
「よかった・・・。」

キドは少し緊張していたのか「ほうっ」と息をはく。

「でも、どうして夜なの？」
「そのほうがしやすい・・・。」
「？」

どんな話なんだろ。
そんなことを考えているといつの間にか
僕たちの家の前。

「じゃあな。夜にベランダで。」
「あ、うん。ばいばい！」

そう言ったかと思うとキドは玄関に
向かって言ってしまった。