Through the rain 5 (ページ38)

今日:14 hit、昨日:41 hit、合計:164,199 hit

49.4 ページ38

黄side

ふらりふらりと左右に揺れる、細く薄い身体。

このどんよりとした雰囲気をどうにかしたい。

そして、目の前の樹の見えない壁を外してあげないと、なんにもならない。

高「なぁ、樹?....え?なんで泣いて...」

呼びかけて振り向いてくれた樹は、静かに。

本当に静かに音もなく、泣いていた。

ただの弱虫じゃない。

強くいようとしすぎたからこその涙だった。

樹が持つ繊細さを、樹自身がないことにしてたんだ。

樹「こ、ち.....」

高「樹!!!しっかりしろ!おい!!」

焦点が定まらない視線を、俺に必死に合わせようとしてそのまま俺に倒れ込む。

声をかけても目を覚まさない樹の頬には、幾筋も彼の限界だった証拠が跡を作っていた。

病院に運び込まれて、点滴に繋がれたほっそい腕。

高「バカじゃんっ、こんなになるまで...何のためのグループだよ」

目を覚まさないことをいいことに、彼に文句をぶつける。

早く起きろよ....

もう、朝になっちゃうよ。

樹はそのまま、次の朝になるまで目を覚まさなかった。