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桃side
今日は久しぶりにグループ仕事...
と言っても、高地とジェシーとのレコーディングなんだけど。
今の世間の状況を鑑みて、3人ずつに区切られてるんだ。
俺が着いた時には、もう2人とも着いていて高地は既にうとうと。
そして何より、その高地を普段だったら大声で起こしてそうなジェシーが難しい顔でマスクをしていることに驚いてしまった。
大「ジェシー、おはよ。どうしたの?」
ぶんぶんと首を振って返事をする。
どうした...?
大「....ね、やっぱり調子、ん?」
ジェシーが俺の手首を掴んできて、何かを伝えようとしてきた。
でも...
なかなか言い出せないのか、シーンとした時間が流れる。
俺も上手く気持ちを拾ってあげられないし、口下手だからね。
ジェシーが話し始めるまで待っていると、スタッフさんから声がかかってしまった。
「ジェシーさん、お願いします!」
ジェ「っ..はぃ」
......声.....出しにくいの..?
大「っ、ジェシー...」
普段よりも、大人しく小さく見えるジェシーの背中に声をかけようとしたけれど。
間に合わなくて。
パタンとドアが閉まって、ガラスの向こう側に彼の姿が見えていた。
高地を叩き起こして、ジェシーのレコーディングを見学。
何度も、何年も、聞いてきた彼のレコーディング。
こんなに緊張して聞く時が来るなんて思っていなかった。
いつもは、一緒に口ずさんでしまいそうになるほど軽やかに、そして楽しみにしているものだったから。
•*¨*•.¸¸☆*・゚•*¨*•.¸¸☆*・゚
赤side
ヘッドフォンから流れ出す、俺たちの曲。
この曲も大好きな曲なのに、俺の気持ちを押し潰してくるように感じた。
ジェ「っ....Don't..s..re....ke..nd..」
気持ちよく歌えるはずのフレーズが。
いや、歌っているはずのフレーズが...
音にならない。
自分の中では流れているはずの歌声が、届かない。
もう一度って言う声が聞こえた。
ジェ「っ....すみ..ま...」
その一言さえ、続かない。
ど...しよ...た、すけて...
ジェ「ヒュ..はぁっ...はっ...」
苦しくなる中、ガラス越しの大我とこーちを見れば、慌てたように立ち上がる2人。
ジェ「ぁ...く、るし...はァ..は」
マイクを通して部屋に響く俺のうるさい呼吸につられて、どんどん苦しくなっていった。
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作者名:みかん | 作成日時:2020年12月8日 0時