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第五十話 やらなくちゃいけないこと ページ5

(you side)

はた、と目を覚ました。嫌な夢は覚め、落ち続けていた意識が浮上する。生きている。
汗のせいで服が肌につく。手が暖かい。

『………。』

こくりこくりと、目を閉じた…寝ているエーミールの頭が動く。椅子に座り、私に向かった彼の手はしっかりと私の手を握っていて。じんわりと暖かいその手は白く、彼らしいなと思った。

『……え゙ーみ、っけほ、』

喉がやけるように痛い。吐きそうになり口元を押さえると、彼がパチリと目を覚ました。

「あっ、お、起きた?よ、良かったぁ…。」

彼の顔には、安堵と同時に焦りも滲んでいて。一度咳をすると、すぐに彼に水を渡された。
ゴクリと飲むも、逆流してげほっと吐き出す。布団が汚れた。

『っ、っ…』

「と、とりあえずしんぺいさん呼びますね…?!」

彼はベッドから離れ、私に背を向けて通信を飛ばしている。色々話している彼を横目に、窓の外を見た。曇った空だった。

「はぁ?会議に…あぁ、はい…分かりました。えぇ…今のところ。」

失礼しますと、かちりとボタンを押し、こちらへ戻ってくる。
神妙な面持ちをしてるのでどうしたのと首を傾げると、彼が口を開いた。

「今日の昼過ぎから会議があるそうです。大切な話のようでして、Aさんは絶対参加だと…。
無理はさせないようには伝えておいたので、大丈夫だとは思われますが…。」

『…わ゙か、た、わ』

無理はなさらないようにと、エーミールは眉を下げる。その目は心配の色を孕んでいた。
大丈夫よと返すと、ならいいんですと彼は言う。

「…ここの所、Aさんの調子が優れないようで、皆さんも心配してるんです。お願いだから、自分の体を大切にして。」

『…ぞれは、いちばん、わ゙かっ、でる』

きっと昨日は疲れが溜まっていたんだろう。きっと、そうに違いない。
私はまだ、できることが残ってる。

私は、やらなくちゃいけない。

第五十一話 事件→←第四十九話 内の内



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五角形レンガ - すっげぇ、、、いや、感動でしかないです、凄すぎませんか!? (8月12日 10時) (レス) @page29 id: 142fcb5a32 (このIDを非表示/違反報告)
紫苑 - 神作品、、、ッッッッ (2022年12月19日 12時) (レス) @page29 id: 9753754a57 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - 鴉さん» お!!そうですそうです!!!!いやあ知ってる人いた………!!!!! (2022年10月19日 18時) (レス) @page14 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
- 作者様!!!!59話の夢主さんが言っている小説ってメディウムですよね!!!! (2022年10月19日 18時) (レス) @page14 id: cdf302c4aa (このIDを非表示/違反報告)
GuriGura(プロフ) - う‘‘ぁ‘‘ッ、、、、、、、、、さ‘‘い‘‘こ‘‘う‘‘ッ‘‘、、、、、、、、、 (2022年9月25日 8時) (レス) @page29 id: b9eb3e9d2e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:はしばみ | 作成日時:2022年9月8日 23時

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