胃袋を掴んでしまった、という話。【rbr】

おさんぽ ページ5

「そうなんや…めちゃくちゃ美味しかったから、料理関係の仕事してはるのかと思てました」

『い、いや、全然そんなこと…。』

ふと、足元にふわっとした感覚が走る。あっと足元を見ると、みらたしがちょこんとそこに座っていた。お散歩？と言うように。

『あ、ふふ、まだお散歩ちゃうよ？』

「わ〜可愛いわんちゃん…。」

『あ、こ、こら、威嚇しないの！』

抱き上げ顔を天乃さんに見せるも、ぐるると威嚇し顔を埋めるみたらし。
男性は好きじゃないのかなと頭を撫でる。

「あはは、なんや、丸田さんのことめちゃくちゃ好きなんやな、お前。」

わん、と吠えるみたらし。
そうだ、丁度いいし今から散歩に行こうかな。みたらしも行きたがってるし。

『あ、ちょ、とリード、とと、取ってきますね』

「んん、はーい。」

リードをみたらしの首に着け、よしっと意気込む。

『ちょ、どいいので、お、お散歩行ってきますね…！』

「あ、ホンマですか？せやったら…お、お供とか、しても？」

えっと目を見開く。

「あ…やっぱあきませんか？こう、男性と歩くのは抵抗あったりとかありますもんね、うん…。」

『ぁ、い、いい、いや、ぜ、ぜっ、ん…全然、だだ、大丈夫ですよ。いき、行きましょうか』

彼も1種のわんこのように、しっぽが見える気がする。ちょっと小物色々持ってきますね！と部屋に戻っていた後すぐに帰ってきた。

「さ、行きましょか！」

彼の言葉にこくりと頷き、歩む彼について行く。

『(…というか、私今めちゃくちゃすっぴんやん。終わってるわ。やったわマジで。)』

髪の毛だけでも丁寧に整えとけばよかったなぁ…マスクとか持ってたりせんもんな…。

「？どうかしました？」

『あ、いい、いえ、なにも、』

私今すっぴんなんですなんて言えないだろ恥ずかしい。

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