胃袋を掴んでしまった、という話。【rbr】 (ページ30)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:51,247 hit

おともだちページ30

呂戊太さんは少し悲しそうな顔をしていた。薄ら笑いを浮かべ顔を背ける。

『ごめんなさい、お酒が入るといつもこうこうで。』

「…全然、ええんですよ。嫌なことは吐き出した方がええやろぉ？」

『…そう、ですね。』

それに、と彼が口を開く。

「俺たち、もう友達なんで、ねっ。なんかあったら、相談してほしいなあなんて。」

『………。』

あかん？と彼は首を傾げる。いくつかは知らないが、成人しているはずの彼はどこかあどけなくて。童顔よりの顔は高校生にも見えた。

『…酷いこと、いっぱい話しますよ？意外と、真っ黒ですから、私。』

「ええんですよ、それを言うのが友達でしょーに」

『…わか、りました。じゃあ…呂戊太さんと私はお友達なので、敬語も、なしで』

「…っええの！？」

わっと声を漏らす。

『っふふ、鳥井さん起きちゃいますよ…』

「…いや、うれしくて…。」

人差し指同士を合わせ、やったら敬語はやめるわなと彼が言った。Aさんも敬語やめてなと言われ、曖昧にも頷く。難しいな。どれだけ話していても、なんだか自分が出しずらくて。結局は取り繕ってしまう。

いつか、彼の前でも素を出せたらいいなと、そう思うけれど。

『…お腹すいたなあ…。』

「そうやなあ…てゆうより、あんだけ希に食べさせられてお腹空くって凄いなあ。」

『ふふっ、何か、買い出しでも行きま…行く？』

ええやんとゆっくり彼が立ち上がる。アンダーアーマーは彼の筋肉質な体を表していて、凄いなあと見ていると穴が空いてまうよおとにへにへ笑う彼。

『私、筋肉ないから、ふんっ』

二の腕に力を入れるも、ぷるぷると震えるだけで固くもない。柔らかい。
多分これは脂肪だろう。くそ…。

「んはは、ええんとちゃう？女性らしーで」

『…、そ、ですかね…？あ、コンビニ行くなら、お金、持ってきますね』

「んんん、俺が払うでだいじょーぶやでえ」

『えっ、でも』

明日の朝はご飯作ってもらうんやしなと彼が笑う。外絶対寒いよなあと扉を開くと、案の定。
腕をさすると、あっと彼が戻っていく。布と…カーディガンだろうか、それを持ってきた彼は私へと渡した。

「外寒いんで、マフラーとこれつけてきましょっ。ひえー、さむっ」

彼もコートに腕を通す。借りますと一言、カーディガンを見るも、結構大きめのサイズで。ありがたいなと腕を通した。