第四話 墓穴 ページ6
外は、風が程よく吹いていて、涼しかった。
ひとらんらんが育てている花も一緒に揺れていて、可愛らしい。優しい匂いが、鼻をくすぐる。
「……あ、」
『………。』
足音が聞こえ、そちらの方を見る。予想通りというか、ひとらんらんが立っていた。別にお話することもないし、無視でいいか。
＿"ここに来ないでよ、花とか野菜とか、動物に悪影響でしょ。"
＿"随分とけったいなことを言うのね、あなた。迷信を信じるタイプ？面白いわね。"
綺麗なチューリップだなあ。ぼうっと眺めていると、「ねえ」と話しかけられる。
「その…、スカート、土で汚れちゃうよ。」
『………。』
あなたに関係ないでしょうと言おうとしたが、言葉を飲み込んでそうねと返す。
花がものすごく好きで、という訳でもないし。図鑑でも開けば、綺麗なのは沢山見れる。
『もうここには来ないわ。』
お散歩がてら寄っただけだし、別に用はないから。
「あ……そっ、か…。」悲しそうに、彼の声が後ろから聞こえた。
"来るな"と言ったのは、あなたの方でしょう。
＿
「A様、こんにちは！お疲れ様です！」
『ええ、お疲れ様。訓練頑張ってね。』
「A様！A様は今お散歩中ですか？」
『ええ、そうよ。ああ…ここは訓練中の兵士がよく通るものね。なるべく邪魔にならないようにするわ。』
「ああいえ！全然！お気遣い感謝します！」
通り過ぎていく兵士達が挨拶をしてくる。
ここら辺を通ってるのは、シャオロンかコネシマかどちらかの隊の兵士だろう。あそこの隊は体力が土台だからな。大変そうだ。
『………。』
「……。」
さっと、走り去っていくコネシマ。訓練中に会って良かった。話すことの心配も無いし。
正直彼と話すと疲れるから。気を使われるのもあれだけど、彼は冷たさが抜けていない。私への当たりが強いというか。
まあ、あの女の首が飛んで、皆が私に謝った日。
あの日は私は誰も許さなかった。逆にどうしたら許されると思ったのかは知らないが。
それに腹を立てたのか、コネシマは以前とは変わらずだ。そちらの方が好都合で良い。無駄に関わるよりかはよっぽど。
こうなることを彼らは望んでいた。私はそれをした迄なので、なぜ私が責められるのかは全くもって分からない。墓穴を掘りたいのかしら。
まるで自分の首を絞めてるのと同じなのに。全く、笑えるわ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 875人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…！！！)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…！？？！？更新ゆったりまったりですが頑張ります！！！ (2022年8月17日 20時) (
レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…！あとメンバーの性格(？)が色濃く表れていて好きです！更新頑張ってください！！ (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ！！ありがとうございます…っ！！！頑張ります！！！！ (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…！！ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです！！(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます！！ (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：はしばみ | 作成日時：2022年8月13日 18時
