第三十三話 神の光 ページ35
元いた方へと戻ると、ゾムが私に手を振って走ってくる。
ああ、体中が痛い。
これ以上動くなと、頭が信号を送っている。
『…ゾム』
「A！よ、よし、今度こそ帰れるからな…！辛かったなぁ…。」
そう言い、彼は私の頭を撫でる。壊れ物を扱うみたいに、そっと。
『…平気よ。』
「そうやないって顔が言ってる。ほら、乗り。」
早くせんとおいってまうよと背中を見せるゾム。彼の背中に乗ると、無理のないスピードでとんとんと揺れる。
既視感のあるその光景に、目の奥がつんとする。
彼の肩を掴んだ手は、震えていた。
＿
「グルッぺ〜ン！任務完了っ」
「おー、お疲れ様。列車ん中の物資の中に飯があったはずや、ぎょうさんあるから食ってええぞ。」
「まぁじ！やった！」
私を下ろした彼は、嬉しそうに列車の方へとかけていく。
立っているのも辛いだろうと、総統閣下は近くの木箱に座るように言った。
『…戦況はどう？』
「当たり前だが、優勢だ。核ひとつでも落とせば国は滅びるだろうな。
トントン達の撤退がまだだから、もう少しかかるが。」
ふうん、と曖昧な返事をする。私たちの後ろには、核を飛ばす発射装置が備えられている。
その影から、エーミールがにこっとこちらに会釈し親指を立てていた。
「お前には、随分苦労をかけたな。」
『今更。』
「謝罪したい気持ちは、本心だ。」
『そう。』
「…それでも、ダメか？」
『ええ、当然。』
目を合わせずに、彼にそう言った。正門から、たったったっと駆けてくるトントン。それに続くシャオロンやコネシマ。その隊員。
『…連れてきたのね、トントン。』
彼の肩には、先程の新兵が担がれていた。
「ああ。言うて半分脅しやったけどな…、捕虜っちゅうわけじゃないけど、仲間っつうかどっかの隊に入れるつもりやで。」
『動けるの？その人。』
「動きは悪なかったで。軽く手合わせ的なもんはしたけど、芯もしっかりしとる。」
『そう。私は反対しないわ、ご自由に。』
そうかとトントンは笑い、手足を縛られ気絶している新兵を列車に運んで行った。
「他に生存者は？」
「ん〜、多分おらへんと思うで？平民はみーんな他国に逃げてってると思うし。」
「そうか、ならそろそろ発射の準備だな。」
グルッペンはエーミールに目で合図を送り、口を開いた。
くたばるがいい！神の光を見よ！！と。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…！！！)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…！？？！？更新ゆったりまったりですが頑張ります！！！ (2022年8月17日 20時) (
レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…！あとメンバーの性格(？)が色濃く表れていて好きです！更新頑張ってください！！ (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ！！ありがとうございます…っ！！！頑張ります！！！！ (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…！！ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです！！(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます！！ (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年8月13日 18時
