第十話 死にかけ書記長 ページ12
『…なに？』
彼が私の目の前まで来る。私とはさほど背丈は変わらないが、それでも彼は大きい。
ぐっと、胸ぐらを掴まれた。
「ちょっ、こ、コネシマ…！」
制止の声が入ったが、彼はじっとこちらを見ている。半分睨んでいるようにも見えたが、殺気が感じられない。単なる怒り、というか。
「…お前が…お前がそれを言ったら、あかんやろが…！」
震えた声が、会議室に響いた。歪んだ顔。
彼の鮮やかな水色の瞳は、微かにゆらゆらと揺れていた。
『…なら、あなたが言えば？』
「………言えるわけ、ないやろ…。」
『そう。』
胸ぐらを掴む手が緩む。
「悪い、話戻してくれ。」と、目元を押えながら彼はそう言った。
「…Aは、隊を持ちたいと思うか。」
『今の所はないわ。興味もない。』
「…どこかへ入りたいというのも？」
『無いわ。』
そうかと総統閣下の低い声が、響く。
私はのんびり生きていたい。そもそも軍を抜けられるのなら抜けたいが、彼らは必ず地の果てまででも追いかけてくるだろう。人の気も知らないのだから。
他国へ行って情報を流したら、次こそは私の首が飛ぶだろうし。
今は死への願望は無い。
「…そうか。気が変わったら教えてくれ。
今日の会議は以上。解散。」
＿
「Aはもっと自分を大切にせんとな〜？」
『そう。』
「分かってないでしょー。」
頬を突いてくるしんぺい神。
うざ、と言う言葉は飲み込んで、しつこいわよと振り払う。
「ええ、だって柔らかいんだもん、Aのほっぺ。」
『ああそう、おじさんの頬は硬いものね。』
「むむむ…。」
いい加減にしないとセクハラで訴えるわよと言うと、すっと手を引っ込める。
はあ、いつまでこんな馬鹿げたことをしてるんだか。
「…ねえ、A。」
『…なに？』
「……。あー、いや。やっぱなんでもない。
言いたいこと忘れたわ。じゃ、俺ちょっと軍需品保管庫行かんなんから。」
不思議に思ったものの、駆けていく彼の後ろ姿を見る。
まあ、いいか。本人がいいって言ってるのだから、無駄に詮索する必要も無い。
「……A…。」後ろから、唸るような声が聞こえた。振り返った先には、八割方死んでるトントンが。
「悪い…これ、運ぶの手伝ってくれへんか…」
『…私以外には？』
「グルさんは脱走…鬱ゾムシャオは訓練中やし、コネシマもおらんし…ひとらんは庭、エミさんとオスマンは茶会やろし、あと…えっと…」
…ダメだな。ほとんど呂律回ってないこの人。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…！！！)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…！？？！？更新ゆったりまったりですが頑張ります！！！ (2022年8月17日 20時) (
レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…！あとメンバーの性格(？)が色濃く表れていて好きです！更新頑張ってください！！ (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ！！ありがとうございます…っ！！！頑張ります！！！！ (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…！！ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです！！(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます！！ (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年8月13日 18時
