第九話 独善 ページ11
『なぜ私が、お国の為に、あなたの為に戦わねばならないの?』
「…?それは、幹部としての努めだからだろう?」
呆れた。自分はしてこなかったくせに、他人からは求めるのか。
『ならあなたは、総統として私になにかしてくれたかしら?』
彼の目が見開かれる。
『幹部としてなら、書類もちゃんと提出しているし、余計な内ゲバも何もしていない。大人しく過ごしているわ。
少なくとも、あの女が来てから、あなたにしてもらったことは何も無いわ。今までの分は今までで返してきたもの。
あなたにこれ以上、なにを差し出せと言うの?ねえ、
パンッ、と破裂音が鳴った。
ちりっと焼けるように熱くなる頬。
『…図星だったら撃つの?大層偉くなったわね、あなた。』
そういう所が、本当にくだらない。
傲慢で、横暴で、自分さえよければいい。
彼の手には、拳銃。銃口を、こちらへ向けている。
「ちょお、グルッペン!」
「お前は、一体何がしたい。」
『何がしたい?一番最初に言ったじゃない。
"必要以上に関わらないこと"。あなた達が私を忌み嫌ったように、私もあなた達を嫌うことにした。非常に合理的な判断だと思うけれど?』
彼が、重い口を開く。
「お前はそれでいいのか。」と。
『
「ええ加減にしてくれ。
なんや、こっちは心配してるんに、気持ち分からんのか。」
『ええ、全く。それはあなた達もそうだと思うけれど。
私の気持ち、分かった気しないでくれるかしら?』
背の低い、しんぺい神とは違う天の文字を刻んだ布の、ロボロ。
心配。心配か。よくその軽い口で軽い言葉が言えたものだ。
『独善的な優しさは私、あなた達と共に求めていないの。心配だのなんだの、白々しいわよ。』
まるで今まで自分が何の関係もないかのように言って。正直腹が立つ。
『それとも、私があの子の代わりに断頭台で死ねばよかったかしら。』
そちらの方が、彼らにとっても彼女にとっても都合がいいだろう。
愛されたかった彼女と、愛すべき対象が欲しかった彼ら。
私は悪役として、人生という幕は閉じる。なんとも素晴らしいハッピーエンドだ。
はは、くたばれ。
「……おい。」
今まで黙っていたコネシマが、唸るように低い声で声を発する。
地を這うような声は、静かに怒っているようで。
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はしばみの揚げ物(プロフ) - 霜華さん» (レスつけてなかったです…!!!)はしばみよりすごい作品を理解してるかたですね…!??!?更新ゆったりまったりですが頑張ります!!! (2022年8月17日 20時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
霜華(プロフ) - 常に冷静沈着で俯瞰し、諦観している感じの子が大好きマンだから読んでて楽しいです…!あとメンバーの性格(?)が色濃く表れていて好きです!更新頑張ってください!! (2022年8月17日 19時) (レス) id: fd554933f3 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - ロックマさん» わあ!!ありがとうございます…っ!!!頑張ります!!!! (2022年8月16日 15時) (レス) id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
ロックマ - むちゃくちゃ好きですこの作品!!!!! これからも頑張ってください (2022年8月16日 12時) (レス) @page19 id: 7ddd684455 (このIDを非表示/違反報告)
はしばみの揚げ物(プロフ) - イナリさん» こういう系のお話を書きたかったので…!!ノリと衝動で書いたので、足らない部分があるかもと思っていましたが、そう言ってもらえて嬉しいです!!(更新頻度はバラバラです生きてる時もあれば泥みたいになってる時もあります…笑)ちまちまと更新頑張っていきます!! (2022年8月15日 20時) (レス) @page16 id: f8654c08a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:はしばみ | 作成日時:2022年8月13日 18時