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「要件は、なんでしょう。」
「フン。そんなもの分かっているだろう。
貴様が所持している悪魔の実シリーズの中でも最悪中の最悪。原罪と呼ばれた実を、大人しく渡せと言っている。」
眼前に立つ男を、Aは呆れるように見た。
随分前からAはその"悪魔の実"について、世界政府から半ば尋問を受けていた。知らないと首を振るも、どこからか所持していると噂が立ったのか、執拗に彼女を責めたてる。
「…以前から知らないと言っているでしょう。根も葉もない噂をあなた達は信じるというのですか。」
「君はその悪魔の実の力がどれだけ膨大であり、そしてどれだけ世界にとって危険なものか理解していない。だからそれほど適当に自分が見つけたものであたかも自分のものだと宝物だと言い張れるのだ。」
「だから…、ケホッ、そんな悪魔の実のことなんて、知らないと、何度も…。」
そうカッカするな、と男はニヤニヤと笑いながらAを見た。＿＿怒らせたのはどっちだ、と血反吐を吐くような思いをしながら、Aは口元を抑える。
「まぁ、知らないのも無理はねェ。なんせ史上最悪の悪魔の実だ。どれだけ恐ろしいもんか、教えてやる。コトコトの実、
雨が降った時、晴れろと言えば天候は晴れる。怪我の治療も、治れと言ったら治る。
誰かに対して死ねと言えば、＿＿殺すことだって、容易い。
「それぐらい危険な代物なんだぜ、そいつは。お前が持っていていいものなんかじゃあねぇ。」
「…なぜ、そんな危険なものを所持しようとするの？」
お前には関係ない。そう、男が言い放った。
「私はそんな実のことは知らない。でも、そんなものが世界政府の手に渡ってしまったら…私は、終わりだと思うわ。」
「ほう。政府に逆らうというのか。」
＿＿相当、耳と頭が悪いのか。Aは内心嘆息した。
「あなた達、アイスバーグさんにまで手を出しているでしょう。どんな理由かは知らないけれど、手を出したら大工さん達が黙ってない。」
「おーおー、そうだといいがな。
…ま、そのうち分かるさ。お前もあの実を差し出したくなる。」
ここらでお暇するよ、と男達は歩き去っていった。
Aは、静かにその後ろ姿を眺め、嘆息した。
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年11月11日 0時
