落ちた鬼灯。【OP】 (ページ7)

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「おお、起きたか。」

はた、とAが目を開けると、目の前にはカクが座っていた。手をヒラヒラと彼女の前で動かし、その薄らぼやける翡翠色を彼は見つめた。

「失礼するぞ。」

彼はAの手首をそっと掴み、脈を取る。どく、どく、と安定はしているようだが。
＿＿顔色があまり優れんな、とカクは彼女の頬に手を当てた。

「起き上がれるか？少し水を飲もう。」

「あ…はい…。」

「ほれ。わしのじゃが口は付けとらん。」

Aは受け取ったボトルの蓋を開け、ごくりと喉へと流し込んだ。
冷たい。

「落ち着いたか？」

「…少し、あの…海賊は？」

「もう片付けた。今頃パウリーが締め上げとるとこじゃろう。安心せい。」

そうですかと、ふにゃりと笑みを浮かべたA。その顔はかすかに青くなり、体調が悪そうで。
カクが大丈夫かと顔をのぞき込むが、Aは弱々しく頷くばかり。

「おお、ここにいたのかね。Calmオーナー、A。」

2人揃って、声のした方を向く。黒いスーツを翻し、頭にはハットを被って。男ら3人は、しっかりと彼女を見据えていた。青い顔をしながらも真剣な表情で、Aも彼らを見やった。

＿＿世界政府の役人。大工の誰もが手を止め、そしてその相手となるAに心配の色を見せた。
その黒は、世界政府を象徴している。何のために、どんな理由で。そんなことは、彼らとA自身にしか分からない。

咳をしながらも立ち上がるAにカクは大丈夫かと声をかける。

「平気です、ここに…迷惑をかけるわけにもいきませんから。
……少し、場所を変えましょう。」

「ああ、そうしましょうとも。"お互いの為に"、ね。」

男は、ニヒルに笑った。