一日目、決断。 ページ6
「お前はどうしたい。」
その問いに、グルッぺンは目を瞬かせた。
「…どうしたい、ですか。」
低い声が、広く虚しい食堂に響く。
グルッぺン・フューラーはW国の人間である。ましてや総統の立場である以上、失踪あるいは誘拐されたとでもなれば大騒ぎであろう。
しかしこの男、気味が悪くも落ち着いており。それがプライドなのか、Aは鋭くグルッぺンを睨んだ。
「…仲間の元に戻りたいのが第一です。」
けれど。グルッぺンが言葉を紡いだ。
「…全て、
グルッぺンの双眸が、真っ直ぐにAを見ていた。
Aが口を噤む。
「…ならば、3日後だ。明明後日、ここを出発する。それまでに万全の準備でもしておけ。」
やられたままではいられない？
ははは。なるほどな、そうするというのか。
面白いことを言ってくれる。実に滑稽。
「私と話す時は敬語はなくていい。お前もそれがいいだろう。」
「……いいのか？」
「多少はな。」
ならばと、グルッぺンは口にする。
「今お前が食っているそれ、くれないか。」「……。」
Aが手にしたショートケーキを頬張ろうとした時、そう言われる。
無理な願いだとAがぱくりと口へ運ぶと、あー！と声を上げるグルッぺン。
「少しくらい分けてもいいだろう！こっちは地下の生活でろくなもん食ってないんやぞ！！甘味なんて尚更や！！こんの…っ、苺ぐらい寄越せ！！」
「多少はと言ったばかりだろう！これは今日仕事を頑張った私へのご褒美だ…ましてやお前みたいなのに渡すわけがなかろうが…！おい苺を取ろうとするな！」
ぎゃいのぎゃいのと食堂に響く怒号。グルッぺンの腹を軽く蹴押すと痛がるので、腹が痛むのならやめておけとAが嘲笑う。不可抗力だろうとグルッぺンが叫ぶ。
騒がしい夜だった。
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かきくけの(プロフ) - すごい、作品ですね…(小並感)久しぶりに神作品に会えました！ (2022年10月15日 7時) (
レス) @page24 id: e7af349437 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのサメ(プロフ) - 神様ですか？神様ですね。こんな、素晴らしい作品を作っていただき、ありがとうございます！ (2022年10月6日 8時) (レス) @page24 id: fed687ffc2 (このIDを非表示/違反報告)
月の光 - おっと神のような作品を見つけた。オークションものは結構あるけどネタ物が多いからこんな感じのすごくうれしいし好みです！！応援しています！ (2022年10月1日 22時) (レス) @page5 id: f3c01cad39 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はしばみ | 作成日時：2022年10月1日 16時
