＊ ページ17
「………誰かいるのか？」
この言葉に、辺りの空気が一気にピリッと張り詰める。
足音がより一層響いて聞こえ、コツ、コツと音が鳴るたびに心臓が跳ねる。
真横にいた目黒に気づかなかった足音の向かった先は、カーテンだった。
自分に向かってきていると気づいても、何もすることが出来ない。
ただ石の様に固まり、危険が過ぎ去ることを祈るだけ。
呼吸の音でバレてしまいそうで息ができない。
瞬きすらできない。
心音が相手に聞こえてしまうんじゃ無いかというくらいうるさい。
ru「ッ……！」
自分から僅か数十センチのカーテンの端を掴まれ、身体中に電流が走る様な衝撃を感じる。
最早ホラーの様な展開に叫び声をあげそうになりながらも、歯を食いしばって耐える。
どうか、どうか今すぐカーテンから手を離して去ってくれ。
祈りながらも、半分諦めかけていたその時だった。
ru「ひゃっ……！」
ボーン、ボーンという大きな音。
予期せぬ響きに過剰に反応した拍子に固く閉じていた口が開き、声が漏れる。
だが、幸運なことに彼の声は時刻を知らす音に遮られていた。
「ん？もうこんな時間か………。」
音のお陰で自分の仕事を思い出した大司教は、ぱっとカーテンから手を離す。
“誰かいるわけが無いよな”、なんて自らを半ば揶揄うように吐き捨て、スタスタと部屋を去った。
mm「ッうわぁ……やばかった………」
絶体絶命のピンチを切り抜けた目黒はホッと胸を撫で下ろす。
立ち上がって一度伸びをし、未だカーテン裏から出てこないラウールの方へ向かう。
mm「おいラウール、大丈夫か？早く………」
大司教がいなくなったことだし早く出てくれば良いのに、と思った目黒が勢いよくカーテンを開ければ、顔面蒼白のラウールが棒のように突っ立っていた。
その表情に言葉を失った目黒は、心に罪悪感を覚える。
ru「……終わったかと思った………」
そう言うラウールの声は震えていて、先程の恐怖を物語っていた。
弱々しく目黒に抱き付けば、目黒もそれを受け入れ、ぽんぽんと優しく自分より背の高いその頭に触れた。
mm「……ごめん、巻き込んで。」
ru「……いや、平気。ついて行くって言ったの俺だし。ちょっとビックリしただけ！」
“また誰か来る前に逃げちゃお！”と気持ちを切り替えたラウールに明るい声で言われ、それに従わない理由もなく、罪悪感が残るまま目黒はラウールと共に部屋を後にした。
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そら。 - お忙しい中リクエストに応えていただきありがとうございました！まさに読みたかった場面で感動です…。これからも頑張ってくださいね、応援してます！ (2021年1月31日 22時) (
レス) id: c6c4969a03 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - そら。さん» 大変遅くなりました、リクエスト書かせていただきました…！全4話構成となっておりますので、是非読んでいただけたら幸いです！ご希望に添えていればいいのですが、、是非これからもこの作品をよろしくお願い致します！ (2021年1月31日 17時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - Rawさん» こちらこそです！！！かなりお話が長くなってしまいました、(笑)え、是非是非！！！リクエストいつでもお待ちしております！いつもこの作品を本当にありがとうございます！ (2021年1月11日 11時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
Raw(プロフ) - れいあさん» 今回もリクエストに応えていただき、本当にありがとうございます！今回のお話も本当に凄いです！！また機会がありましたらリクエストしてもよろしいでしょうか、、？ (2021年1月3日 23時) (レス) id: c8dae37643 (このIDを非表示/違反報告)
れいあ(プロフ) - Rawさん» 遅くなり申し訳ありません、目黒くんのお話書かせていただきました…！中々ご希望に添えているか不安ですが、出来る限りやったつもりなので是非読んでいただけたら幸いです。リクエスト2度も本当にありがとうございました(泣) (2021年1月3日 20時) (レス) id: dccccf6903 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：れいあ
| 作成日時：2020年12月12日 8時
