覚悟を決めて ページ37
＊吉沢亮 Side
菅田君に喝を入れられてから３日後。
俺はAの病室の前にいた。
Aに会うのはあの飲み会以来だからもう数ヶ月ぶり。
最後に会ったAの冷たい瞳が脳裏に焼き付いて、扉を開けるのを躊躇う。
「……ここまで来たんだ」
そう腹を括って、深呼吸をしてからノックすると
「はい」
と聞こえてくる久しぶりの声。
ゆっくりと扉を開けると、驚いた表情のAと目が合った。
「亮ちゃん……」
「……久しぶり」
「うん……久しぶり」
いろいろと言う事は考えてきたくせに、いざ本人を目の前にすると頭が真っ白で。
入り口で立ち尽くす俺に、Aは笑って
「どうしたの？ 座ってよ」
とベッド脇の椅子を勧めた。
促されるまま座ると、Aが俺の顔をまじまじと見て
「痩せたね」
と言った。
「Aも痩せた」
「そうなの。亮ちゃんが買ってくれた黒のスキニーがぶかぶかなんだよ」
「それもうスキニーじゃないじゃん」
「だから太らなきゃ」
「いっぱい食べて」
「それは亮ちゃんもでしょ？」
一緒じゃん、と笑うA。
あんなに間が空いても、前と変わらないやり取りとAの笑顔。
さっきまでの緊張がゆっくりと解れていく。
しばらく続く、他愛ない会話。
こうやって話せるのは嬉しいけれど、本当の目的はこれじゃない。
謝らなきゃ。
そう思って小さく息を吸う。
「A、あの……」
「ごめんね」
俺の言葉を遮って、Aが頭を下げた。
「え？」
「あの飲み会の時、酷い事言ってごめんなさい」
「……Aが謝る事じゃないよ」
「でも」
話を続けようとするAの手をそっと握る。
前よりもずっと細く、小さくなっている気がして。
強く握ったら、壊れてしまうんじゃないかと思った。
「水田さんから全部聞いてるから。Aが悪いんじゃない」
Aは一瞬目を見開いて、でもまたすぐ悲しそうな顔をして。
「だとしても、言っていいことと悪いことがある。あれは言っちゃいけないことだった」
小さく唇を噛んで
「本当にごめんなさい」
と、泣きそうな声で呟いた。
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リオ(プロフ) - 蓮さん» 蓮さんコメント＆リクエストありがとうございます。かしこまりました。少々お時間いただきますが、それでもよろしければしばらくお待ちください。 (2019年6月2日 8時) (
レス) id: fe0c652e28 (このIDを非表示/違反報告)
蓮(プロフ) - こんにちは。リオさんの文章、大好きです！リクエストなのですが、「ヒロインがお風呂に入っているところに彼が入ってきて結局一緒に入る羽目になってしまった」話と「二人でananのかなり艶っぽくて際どい撮影」の話をお願いしたいです！これからも楽しみにしてます！ (2019年5月28日 8時) (レス) id: e90feb906e (このIDを非表示/違反報告)
かづき(プロフ) - リクエストに応えていただいてありがとうございます！面白かったです!!これからも応援しています！頑張ってください！ (2019年5月26日 9時) (レス) id: 11dbaf5629 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - まれさん» まれさんコメントありがとうございます。拙い文章ですが、これからもよろしくお願いします。 (2019年5月22日 9時) (レス) id: fe0c652e28 (このIDを非表示/違反報告)
リオ(プロフ) - ∞えりか∞さん» ∞えりか∞さん、コメントとリクエストありがとうございます。かしこまりました、少々お時間いただきますが、それでもよろしければしばらくお待ちください。 (2019年5月22日 9時) (レス) id: fe0c652e28 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：リオ | 作成日時：2019年4月26日 8時
