職業：女優１０

喝 ページ35

＊吉沢亮 Side






Aに面会出来るようになって早２週間。
いろいろな人がAのお見舞いに行っているという話を聞く。


仲の良い俳優仲間やミュージシャン、ジャニーズの人達に大御所タレント、お笑い芸人、スポーツ選手。
海外在住のタレントさんがわざわざAの為だけに帰国してきたり、韓国のアイドルの人達までお見舞いに来たらしい。


相変わらずAの交友関係の広さには驚かされる。
そして、どれだけ愛されているのかも。



そんな中、未だに俺はAに連絡する事も、会いに行くことも出来ないでいた。



このままズルズルと先延ばしにしていいとも思ってなかったし、どうにかしなきゃとは思っていたけど。
それでもやっぱり勇気が出なくて、時間だけが過ぎていく。


そんな毎日を送っている俺に、とうとう菅田君から電話がかかってきた。
いつかくるだろうと思っていたから、特に驚きもしなかったのが本音。



「もしもし？」



一呼吸して電話に出ると、菅田君は今までにない剣幕で



『今日の夜、家行くから絶対に空けとけ！』



それだけ言って一方的に電話を切った。





そして夜、家にやって来た菅田君は、まぁ予想通りというかなんというか。
物凄く怖い顔で俺を睨みつけて、開口一番



「このアホ！」



と思いっきり怒鳴ってきた。
怒鳴られる理由がわかっている以上、抵抗する気は微塵もない。



「Aの見舞いに行ったら、お亮がまだ会いに来てないって！ どういうことやねん！？」


「うん……」


「お前はいつまでウジウジしてるつもりや！」



今にも俺の胸倉を掴んで殴りかかってきそうな勢いだった。


ちなみに菅田君はちょっとの時間を見つけては、Aのところに行っているらしい。
今日も仕事の前に顔を出して、その時に俺が行ってない事を聞いたそうだ。

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