職業：女優１０

思い出が苦しい ページ26

＊吉沢亮 Side





初めてAに拒絶されたあの日以来、Aと会っていないし、連絡も取っていない。
プライベートは勿論、まるで避けられているかのように現場で会う事もなくなった。
また拒絶されるのが怖くて、連絡も出来ないでいる。


そんな状況がもう１ヶ月近く。
こんなに連絡を取らないのは、仲良くなってから初めてだ。
仕事で海外に行っていたときでさえ、電話やLINEはほぼ毎日のようにしてたのに。



最近元気がないのは自分でもわかってる。
仕事はなんとかなってるけど、私生活は自分でもビックリするくらいボロボロ。


全然眠れないし、食欲もない。
クマが酷いのも、少し痩せたのも自覚はある。


そんな俺を気遣って、優しい友人達は毎日のように食事や飲みに誘ってくれる。
でも飲みに行くと、Aに拒絶されたあの日のことをどうしても思い出してしまうから。



怖くて、行けない。



申し訳ないなと思いながらも誘いを断り、仕事場と家を往復するだけの毎日。



前のAなら、俺がこんな生活してるなんて知ったら



「何やってんの！」



って怖い顔して怒るんだろうな。
それでも



「ごめんね」



って謝って



「Aの料理が食べたい」



って



「一緒に寝よう」



って



そうお願いすれば、優しいAはブツブツ文句言いながらもご飯作ってくれて、一緒に眠ってくれたんだろうな。
そんなことばかり考えてしまう自分が情けなくて、自嘲気味な笑みが零れた。

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