職業：女優４

呼び方 ページ15

今日も今日とて、私の部屋で寛ぐこの男。
着古した部屋着でも寝癖が付いてても彫刻イケメン。
この顔で演技も上手くて、歌も上手、ダンスも出来て。
おまけにいい人。
天はこの男に二物どころか何物与えたんでしょうね。



「亮ちゃん」


「んー？」



定位置のソファーに寝転がって、私の呼びかけに携帯に目線を向けたまま生返事。



「亮ちゃん？」


「なんで疑問形？」



２度目の呼びかけで、ようやく私に目線を向ける。
ラグマットの上に座る私と、ソファーに寝転がる亮ちゃんの目線は同じくらい。



「亮ちゃんって呼び方飽きた」


「飽きたと言われても(笑)」


「呼び方変えようかな」


「いいけど何にするの？」



ソファーから身体を起こして座り直し、携帯をテーブルに置いて。
亮ちゃんが私の顔を覗き込む。
そんな亮ちゃんの顔を見ながら、どんな呼び方があるかなと考えを巡らす。



「亮君？」


「うわ、懐かしい。一瞬で終わったやつ(笑)」



うん、今更違うな。



「お亮」


「そう呼ぶ人増えたよね」



うーん、みんなと一緒は面白くない。
これも違う。



「亮たん」


「Aたん？(笑)」



なんかバカップルみたい。
却下。



「吉沢」


「うん、それはやめよう」



高校のクラスメイトを呼ぶときみたいだな。
しっくりこない。



「ヨッシー」


「それだと緑の恐竜が出てくるよ」



隣には赤い服と帽子のひげの人が思い浮かぶね。
違うか。



「亮」


「それがいい」



即答された。
それはそれでなんかなぁ。



「……やっぱ亮ちゃんかな」


「結局いつも通りじゃん(笑)」



変えたところで、呼び慣れてるから亮ちゃんって呼んじゃうと思うし。
今まで通りでいいか(笑)

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