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「証拠ならここにありますよ? 課長が秘書の女性を脅している証拠」



会議室の入り口の方から、私でも課長でもない人の声がする。
そこには彫刻のように綺麗な顔をした男の人が、携帯を片手に立っていた。



「よ、吉沢君!? どうしてここに!?」


「課長を探しに。お義父様の遠藤専務がお呼びでしたよ?」


「あ、あぁ、そうか。ありがとう」


「早く行かれた方がいいのでは?」


「あ、いや、しかし……」


「ご心配なく。僕も彼女も口外するつもりはありませんから」



吉沢君、と呼ばれた彼は口角を上げて微笑んだ。
綺麗な顔をしているだけあって、その表情は見惚れるほど。
美しい、という表現がよく似合う。
しかし目が笑っていない上に、何と言うか威圧感?のようなものがあって非常に怖い。



「もう2度とその人に近寄らないでくださいね? ……ほら、早く行かないと怪しまれますよ?」



彼の言葉に課長は大慌てで会議室を出ていった。



「大丈夫ですか?」



課長に押し倒された身体を、彼が腕を引いて起こしてくれる。
白くて綺麗な肌、くっきりとした二重の瞳、長い睫毛、すっと通った鼻筋、形のいい唇。
近くで見ると本当に作り物みたいな顔。



「平気です、ありがとうございます」


「何かされてませんか? 怪我は?」


「お気遣いありがとうございます。大丈夫です」



立ち上がって少し皺になったスカートを直して、彼に頭を下げた。



「……冷静ですね」


「え?」


「普通、もっと取り乱したりするもんじゃないんですか?」



眉間に皺を寄せて問う彼の言葉は、まぁ正しい。
あんな状態なら、慌てたり泣いたりするのが普通の反応なんだろう。
でも私にとってそれは普通ではないのだ。



「何もありませんでしたので」



秘書という仕事のせいか、慌てたり取り乱したりというのはしなくなった。
何年も培ってきたスキルのお陰で、態度にも表情にもそういったものは出ない。
その代わり、どんな状況でも作り笑いは出来るようになった。
これはある種の職業病。

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設定タグ:吉沢亮 , 恋愛   
作品ジャンル:タレント
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リオ(プロフ) - ねのさん» ねのさん、コメントありがとうございます。吉沢Sideも公開できるように頑張ります。 (2018年10月21日 19時) (レス) id: 17091ee08c (このIDを非表示/違反報告)
ねの(プロフ) - 完結おめでとうございます!ぜひ、別side編も読んでみたいです (2018年10月21日 1時) (レス) id: 9139ef9cf8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:リオ | 作成日時:2018年10月14日 15時

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