13 ページ13
「Aさん、おはようございます」
あれからまた彼が話しかけてくるようになった。
会社では
「Aさん」「吉沢さん」
と呼ぶけれど、それ以外では
「Aさん」「亮君」
と呼ぶようにもなったし、ランチに行ったり仕事終わりに食事に行ったりする回数も増えて。
さらには休日に２人で出掛けるようにもなった。
明らかに距離は近くなっていて、これで彼を意識するなという方がおかしな話だ。
勿論表情や態度には出していないけれど。
案の定、会社では２人がヨリを戻したとすぐ噂が流れた。
さらに休日に出掛けている所を社内の人間に見られたこともあって
『結婚間近』
なんて話まであって。
でも何よりも驚いたのは、
「吉沢君と幸せになれよ」
と遠藤専務に言われた事。
「……はい？」
「吉沢君にあんなに幸せそうにされたら、小林君も諦めるしかないからなぁ」
「……専務、何のお話でしょう？」
わけがわからず、よくよく話を聞いてみると。
うちの会社の小林専務が亮君をえらく気に入っていて、お嬢さんのお見合い相手にどうかという話があった。
勿論お嬢さんもあんなイケメンとのお見合いを断るはずもない。
そんなことを小林専務と遠藤専務で話していたら、タイミングよく亮君が歩いてきた。
丁度いいからお見合い話をしようと声を掛けて、まず次の休日の予定を聞いたら予定があると言ったらしい。
詳しく聞いたら
「久しぶりのデートなんです」
と恥ずかしそうに、でも幸せそうに亮君が言うもんだからお見合いの話は出来なかった、と。
「相手はA君だと聞いてね、君なら仕方ない」
結婚式のスピーチなら任せなさい、と専務は豪快に笑って去って行った。
専務、果てしなく勘違いしてるけど。
それよりも私との約束をデートだと、しかも他人が見ても幸せそうに言ってくれた事が嬉しくて。
無性に亮君に会いたくなった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
リオ(プロフ) - ねのさん» ねのさん、コメントありがとうございます。吉沢Sideも公開できるように頑張ります。 (2018年10月21日 19時) (
レス) id: 17091ee08c (このIDを非表示/違反報告)
ねの(プロフ) - 完結おめでとうございます！ぜひ、別side編も読んでみたいです (2018年10月21日 1時) (レス) id: 9139ef9cf8 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：リオ | 作成日時：2018年10月14日 15時
