職業：女優２

・ ページ34

翌日。
監督に相談して、私の楽屋に監視カメラを付けさせてもらうことにした。
監視カメラを付けてから３日後。



「……ない」



バッグの中に入れていた、バラエティ番組のアンケート。
急いでみーちゃんに連絡して、設置してあった監視カメラの映像を確認する。
すると、私が楽屋を出てしばらくした後、鍵を開けて入ってくる一人の女性。



「この人……」



あの、女性スタッフさんだった。



「なんで、鍵……」


「それもそうだけど、これ」



映像には彼女が手慣れた様子で私のバッグを漁り、アンケート用紙を持ち出す瞬間が映し出されていた。
おそらくこれまでの紛失事件の犯人も彼女だろう。



「監督と話してくる」


「……うん」



みーちゃんが楽屋を出て行った。
なんであの人が、ってショックが大きくて。
ソファーに座り込んでいると、楽屋のドアをノックする音。



「……はい」


「失礼します」


「あ……」



彼女がいつもの可愛らしい笑顔で、楽屋へ入ってきた。



「これ、明日の予定表です」


「……ありがとうございます」


「……大丈夫ですか？ 顔色があんまり良くないみたいですけど……」


「大丈夫、です」


「そうですか？」



こんなに心配してくれてるのに。
この人が犯人なんて。
そう思うと、いつも通りの反応が出来なくてしどろもどろになってしまう。
そこへまたドアをノックする音。



「はい」


「Aー？」



ドアを開けて入ってきたのは亮ちゃんだった。



「吉沢さん、お疲れ様です」


「あ、お疲れ様です。お邪魔でしたか？」


「いえ、予定表をお渡しに来ただけなので」


「そうですか……A？」


「Aさん、顔色が悪くて。本当に大丈夫ですか？」


「A、大丈夫？ 具合悪い？」



スタッフさんは相変わらず心配そうな顔をして、私のことを亮ちゃんに伝える。
亮ちゃんは私の隣に座って、顔を覗き込んでくる。



「亮ちゃん、あの……」



なんて言おう、と思っていると、みーちゃんが楽屋へ戻ってきた。

・→←嫌がらせ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す