6-3 side:K ページ5
6-3 side:K
「大丈夫！？横になる？」
「だーいじょうぶ、だいじょーぶ！！」
それよりも仕事の話をして！と俺は誤魔化すようにして、テーブルをバシバシ叩いて、その下では足をバタバタして見せる。
「やる気があって嬉しいよ、みっちゃん」
その前に薬塗ろうね、とよこーさんは軟膏のような薬を俺の手首に塗ってくれる。その場所がだんだんとスースーしてきた。どのくらいで消えるのか、と俺は不安げに自分の手首を見つめてしまった。それを察してなのかどうかは分からないが、藤ヶ谷の掌がそっと俺の背中に触れた。驚いて顔を上げると、藤ヶ谷が穏やかな笑みを浮かべていた。心配しなくても大丈夫だ、と言われているようで――いや、そう思い込んで、俺はコクッと頷いて、口元に孤を描いた。これでよし、とよこーさんに手をギュッとされて、俺は慌てて視線を正面に戻す。
「ありがとう、よこーさん」
「どういたしまして」
それじゃ改めて状況を整理しようか、とよこーさんは俺と藤ヶ谷の前に手にしたファイルから取り出した写真を並べ始めた。机に置かれた写真は四枚――
「まず、今回の俺達のターゲットは“玉森 裕太”。玉森財閥の御曹司だ」
「財閥・・・それで」
「ああ、あの高級車と豪邸の感じを見ていれば何となく察しはついただろう？」
「そうだよね、あのクラブも・・・あんなVIPルームがあるなんて思わなかった」
ミラーボールの輝いていたダンスホールよりも広かったのではないかと――先ほどまでその玉と居た部屋のことを思い出して、うんうん、と俺は頷いた。すると、よこーさんが目をまん丸くして俺を見つめている。
「・・・VIPルーム！？そんなものが！？」
「えっ！？」
「北山、詳しく」
藤ヶ谷に促されるまま、俺は今日の出来事を端的に説明した。よこーさんは俺の話の都度、恐らくその建物の見取り図にどんどん書きこんでいく。
「何か変な空洞があると思ってた・・・ありがとう、みっちゃん！」
「役に立ったなら、良かった」
「そこが本来なら玉しか入れない場所なら・・・“悪い人”との取引もそこでしているかもしれないな」
「そうなの・・・かな」
北山？と首を傾げる藤ヶ谷に、俺は少しだけ唇を震わせてしまう。
「玉は・・・“悪い人”じゃないと思う・・・」
next→6-4へ
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 417人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「Kis-My-Ft2」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ほわわ
| 作成日時：2019年7月25日 1時
